2023年03月31日、『韓国銀行』が定例の「外国為替当局の純取引(2022年第4四半期)」を公開しました。以下をご覧ください。
□’22年第4四半期中に市場安定化のために外国為替当局が外国為替市場で実施した外国為替取引額
ㅇ外国為替純取引額:-46.04億ドル
韓国の金融当局は、2022年第4四半期に外為市場安定のために「46億400万ドル」を溶かしました。
つまり、ドル売りウォン買いの方が約46億ドル多かったのです。
2022年のドルウォンチャートを見てみましょう(チャートは『Investing.com』より引用)。
↑青い破線がドルウォンの心理的な抵抗線といわれた「1ドル=1,200ウォン」。韓国では「マジノ線」などと呼ばれましたが、2022年はこれが安々と破られました。
ドルウォンは、2022年第1四半期終わりから「1ドル=1,200ウォン」を突破し、あれよあれよと言う間にウォン安が進行しました。
このウォン安を阻止するために、ドル売りウォン買いを行ってドルを溶かしました。
『韓国銀行』の四半期ごとの公表によれば、金融当局が2022年に溶かした金額は以下になります(03月31日の発表で全四半期の結果が判明した)。
第1四半期:-83.11億ドル
第2四半期:-154.09億ドル
第3四半期:-175.43億ドル
第4四半期:-46.04億ドル
小計:-458.67億ドル
2022年は、なんと「458.67億ドル」もドルを溶かしたことになります。
上掲のドルウォンチャートのとおり、通貨危機レベルまでウォン安が進行したので、通過防衛のためにやむを得なかったというところでしょう。
ご注目いたただきたいのは、第4四半期のように天井からウォン高方向へ戻るときでも、やはりドル売りの方が多く、46.04億ドルも溶かしていることです。
現在、またウォン安方向へ戻っており、かつての心理的抵抗線「1ドル=1,200ウォン」より、まだ約100ウォンも安い水準です。
資源価格が高騰しており、輸入金額が増えている韓国にとってはウォン安は困るので、せめて1,200ウォン台前半ほどにはウォン高にしたいでしょう。
韓国の金融当局はこれからもドルを溶かす可能性があります。
(吉田ハンチング@dcp)