注目しておきたいことがあります。韓国債の利回りが急上昇しているのです。
以下は2025年11月13日(木)の韓国債3年物の利回りです(チャートは『Investing.com』より引用)。

同日はギャップアップしました。利回りは「3.00%」に近づいています。
『Investing.com』の3年債データでも、直近の終値が2.928%、日中レンジ「2.895-2.94%」52週高値「2.954%」と天井圏なのが確認できます。
債券の利回りが上昇するということは、価格が下がっていることを意味します。要するに韓国債が売られているわけです。
なぜこうなっているのか――ですが、最大の要因は「利下げ可能性がしぼんだこと」と見られます。
なぜ利下げの可能性が遠のくと、国債が売られるかというと、話はとても単純で、「今ある国債の利息の魅力が相対的に落ちる」からです。逆に利下げになるのであれば、今ある国債の利息の魅力が高まって、国債が買われるわけです。
先にご紹介した『Bloomberg』によるインタビューでは、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は、
❶「マイナスの需給ギャップを踏まえ、公式立場としては緩和傾向を維持」
❷「利下げ幅・タイミング、さらには方向転換まで新たなデータ次第」
❸「ウォン安・不動産高騰・クレジット不安でリスクがある」
――と述べています。
つまり、李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁の本音としては、「景気回復のことを考えれば利下げを行いたいものの、不動産バブルとウォン安で、利下げを続ける余裕がなくなっている」と推測できます。
「もうしばらく利下げは凍結か、あっても小幅」
「下手をすると、インフレ・不動産次第では再びタカ派化すらあり得る」
――と考えられるので、「利下げ観測で買われていた3年物国債から、いったん逃げたい」という動きになりやすい――というわけです。
『Bloomberg』は、インタビュー後にインタビュー後に「発言を受けて韓国債が売られ、3年債の利回りは2.93%、10年物は3.28%まで上昇」と書きました。
もうひとつ指摘しなければならないのは、韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さん率いる政権の「国債乱発」懸念です。
政府は拡大する支出を補うために国債発行を拡大する傾向にあります。政府は景気腰折れを恐れて、短期国債の発行量調整までしていますが、利回りの上昇を抑えきれていません。
「財政をバラまく政権ができて、国債の将来発行量が膨らむのではないか」と見れば、投資家は「先に売っておこう」と考えます。これが国債の売り ⇒ 利回りの上昇を生むというわけです。
(吉田ハンチング@dcp)






