2023年04月28日、『中国半導体産業協会』(China Semiconductor Industry Association:略称「CSIA」)は、03月31日に公表された「半導体製造の輸出管理」について断固たる反対を表明する文書を公開しました。
⇒参照・引用元:『中国半導体産業協会』公式サイト「厳正な声明」
上掲は中国語版ですが、ご丁寧なことに英語版、日本語版まで用意して公開しています(以下は日本語版)。
厳正な声明
中国半導体産業協会
2023年03月31日、日本政府は、 半導体製造装置の輸出規制対象を6分類23品目に拡大するための外国為替および外国貿易法の改正案を公表しました。
当該措置は、世界の半導体産業のエコシステムにさらに大きな不確実性をもたらします。
『中国半導体産業協会』は、貿易の自由化を妨げ、需給関係を歪めるこの措置に反対しています。
日本政府が自由貿易の原則を遵守し、中国と日本の半導体産業間の協力関係を損なう輸出規制措置を濫用しないことを求めます。
当協会は、この23 品目に対する規制措置について、日本の経済産業省に意見を提出しました。
主な内容は次のとおりです。
・規制対象が広範囲に及び、国際社会で一般的に認められている品目リストを遥かに明らかに上回り、関係企業は非常に困っています。
・規制アイテムに関する表現が曖昧で、成熟プロセスのサプライチェーンに悪影響を及ぼす可能性があります。規制の拡大化とサプライチェーンの寸断を防ぐために、規制アイテム数を減らすべきです。
・規制措置により、 日本の関係企業の利益が大きく損なわれ、 研究開発や技術の進化を支える原資となる利益が十分に確保できないため、国際市場における日本企業の競争力が低下します。
中国と日本の半導体産業は相互に依存しあい、 促進しあう関係にあります。
中国は上流の原材料、コンポーネントやパッケージング領域で一定の強みを有すると同時に、豊富な 半導体応用場面と世界最大の半導体市場を持っています。
また、日本は半導体装置、 材料、特定の半導体製品、およびハードウェアインテグレーションを長所としています。
設備や材料に対する中国企業の需要が増え続け、 日本の半導体企業も中国市場を非常に重視しているため、 両国の半導体産業には深いつながりがあり、良好な協力・信頼関係が築かれています。
日本政府がこの良好な協力関係を破壊する動きに固執する場合、当協会は900社の会員企業の正当な権利と利益を守るために、断固たる措置を取るよう 中国政府に呼びかけざるを得ません。
日本政府が当協会の意見を真剣に検討し、両国半導体産業の発展を支援し、 促進す ることに取り組むことを願っています。
また、 半導体業界が市場原理に基づく分業体制を共に擁護し、手を携えて世界の半導体産業チェーンとサプライチェーンの繁栄と安定を維持していくことを期待します。
中国の半導体産業は一貫して対外開放と協力を堅持してきました。 ここに、関係する全ての企業、団体、業界関係者に対し、今回の改正案がもたらす両国半導体産業への悪 影響を軽減するために、 声を上げていくことをお願いします。
2023年4月28日
⇒参照・引用元:『中国半導体産業協会』公式サイト「厳正な声明」
日本がこの管理措置を続けるなら、協会に属する900社の利益を守るために「断固たる措置」を取るように中国政府に働きかけざるを得ない――としています。
これは脅しでしょう。
皆さんももうご存じですが、アメリカ合衆国は中露を封じるように規制を強化しており、これは「新たなココム」(Coordinating Committee for Export Controlの略)です。
合衆国側に立つ日本はこれに参加して当然で、旧ソ連が倒れて初めてココムが解散したように、中国共産党が倒れるまで規制を強化し続けるべきです。
この「厳正な声明」を受けて、英語版御用新聞『Global Times』が記事を出しているのですが――、
(前略)
いわゆる「国際的な安全保障と平和の維持を妨げる危険性がある」という名目で、日本は実際に中国の半導体産業に対して差別的な措置を取っており、明らかに国際ルールに違反していると中国共産党は指摘した。提案された計画が実施された場合、日中間の半導体分野における経済・技術協力と交流に重大な悪影響が影を落とし、中日間の市場関係者の経済的利益を損なうだけでなく、世界の半導体産業のサプライチェーンを混乱させ、産業における競争と発展の全体的可能性をさらに低下させると、中共は指摘した。
(後略)
――と書いていますので「効いている」ということです。
日本は迷わず、この輸出管理を進めないといけません。
(柏ケミカル@dcp)