アメリカ合衆国では、超党派で「中国を締め上げる」議員が連携しており、これが政権との摩擦を生む一つの要因ともなっています。
2023年04月28日、下院で「バイデン政権が決めた“関税の一時停止”」を撤回させることが可決しました。
話し出すと大変に長い顛末なのですが、できるだけ簡単にやっつけると――そもそもはオバマ政権の決定にまでさかのぼります。
オバマ政権時に、中国産の太陽光発電パネルに対して不正競争防止関税を科しました。不当に安価に生産され合衆国製のパネルの販売を阻害していると判断したためです。
ところが、バイデン政権は2022年06月にこの措置を24カ月停止するとしたのです。理由は、太陽光発電施設を急増してクリーンエンルギーによる発電量を増やしたいからです※。
※この24カ月は「合衆国メーカーが生産能力を構築するための橋渡しの時間になる」としました。
ところが、商務省がその数カ月前に、中国メーカーが東南アジア諸国を通じて迂回輸出を行い、関税を回避していたのではないかという調査に乗り出していたのです。
この調査はドンピシャでした。
実際に、12月には、大手ソーラーパネルメーカー4社が関税を回避するためにカンボジア、マレーシア、ベトナムを通じて製品を出荷したことを明らかになったのです。
商務省は、調査結果を05月中にも公表する構えです。
で、今回の「関税賦課停止の撤回」です。
「222 対 202」で下院で可決しました。「共和党209人」「民主党12人」が賛成でした。
この結果に対して、バイデン大統領は拒否権を発動すると宣言しています。また、『合衆国クリーンエネルギー・太陽エネルギー産業協会』(SEIA)など※は、バイデン大統領の動きに賛同しています。
※環境保護団体も賛成です。
邪推するなら、中国の太陽光発電業者も『SEIA』の会員になっているせいではないのか――なのですが、「商務省の調査は太陽光のサプライチェーンに冷や水をかけ、合衆国の雇用を損なう」と主張しています。
中国製の太陽光パネルについては、日本も他人事ではないので、合衆国がどうするのかにご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)