韓国メディア『ソウル経済』が「日本がうまいことやっている」ので腹立つ――といわんばかりの記事を出しています。「ぐぬぬ……」という内容なので、ご紹介します。
まず、書き出しの部分が以下のような具合です。
アメリカ合衆国と中国の地政学的リスクに日本経済が反射利益を得る兆しがある。
日本経済は地政学的リスクが最高潮に達した合衆国とソ連の冷戦時代である1960~1980年代に超好況を享受したが、一部では現代の新冷戦時代に似たような恩恵を享受するのではないかという観測も出ている。
(後略)
「1960~1980年代に超好況に見舞われた」ので新冷戦でも同様の状態になるかも――という憶測(現時点では妄想)を披露しています。よその国のことなど放っておけばよいのですが、日本が利益を得るのは面白くないようです。
この後に、合衆国と中国が共に貿易についての数字が良くないと触れ※、以下のように続けます。
(前略)
これに対し、日本は反射利益を享受している。1990年代初頭、冷戦時代が幕を下ろし、グローバル企業はコスト効率化を最優先にして人件費の安い中国などに大規模に工場を建てた。
しかし、コロナ19時のサプライチェーンの乱れを経験し、米中の新冷戦時代に入ってコストが増えても安定したサプライチェーンを構築することが重要だという点で企業の考え方が変わっている。
そんな面で政治・外交的に完全に西側にありながら製造能力にも優れた日本は最適な国だ。
最近、『フィナンシャル・タイムズ』(FT)は、「中国と距離を置く方式でグローバルサプライチェーンを再編しようとする動きが、日本製造業に対する外国企業の買収の波を呼ぶことができる」と診断した。
日本が中国と相当な経済・貿易関係を維持しているため、日本に投資すれば中国に直接投資するリスクを避けながらも中国に対するエクスポージャーを適度に維持できるという点も日本が浮上する理由だ。
最近『ゴールドマンサックス』は「合衆国と同盟国は希土類を含む中国のサプライチェーン支配力を弱めることを目指している」と診断し、オーストラリア・カナダ・スウェーデンなどと共に日本がさらに重要な国になると予想した。
(後略)
日本が浮上する理由について上掲のように指摘しています。
しかし、この記事は以下のように日本を懸念して終わるのです。結びの文を引用すると――。
(前略)
予想より早い高齢化、莫大な国家負債なども日本経済には構造的障害だ。
「予想よりも早い高齢化」については、日本よりも韓国の方が問題です。韓国は合計特殊出生率が世界最悪なのを忘れたのでしょうか。また、「莫大な国家負債」と書いていますが、日本の場合はハードカレンシーを持つ通貨主権の強い国であり、負債のほとんどが円建てです。実際、日本がデフォルト騒動を起こすなんてことは考えられません。
日本は世界最大の対外純資産を持つ国なのです。
日本を懸念する暇があったら、異常に増加した自国政府の負債(+企業負債+家計負債)について懸念を表した方がいいでしょう。
※貿易指標についてばかり気にしているのが実に韓国らしいポイントです。
(吉田ハンチング@dcp)