2023年07月07日、『韓国銀行』が2023年05月の国際収支統計を公表しましたが、まず最初にご紹介したいことがあります。
『韓国銀行』の統計システム「ECOS」の「国際収支統計」データ公表フォーマットが当月から変更されました。これによって、金融収支の大項目である「その他投資」でセクター別の数字が公開されなくなりました。
つまり「一般政府」「中央銀行」「銀行」「家計」など、各セクターが外国からいくら融資を受けたのか、その資産・負債の増減が公開されなくなったということです。なぜ、このような変更をかけたのか分かりません。
今回の05月の国際収支統計では経常収支よりも金融収支の方が注目です。
2023年05月「金融収支」
直接投資:21億330万ドル
証券投資:-119億6,580万ドル
デリバティブ:-1億3,370万ドル
その他投資:159億6,050万ドル
外貨準備の増減:-33億1,430万ドル
金融収支(上掲の合計):26億5,000万ドル⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
ご注目いただきたいのは「証券投資」と「その他投資」です。100億ドル以上の金額が動いています。
まず、証券投資ですが約120億ドルもマイナスになっていますが、これは負債の部が「135億490万ドル」も増えたためです(資産は「15億3,910万ドル」しか増えなかったので差額が約120億ドル)。
つまり、約120億ドル分の負債が増えたのです。
証券投資ですので、何の負債が増えたのかというと、
Equity securities(株式):21億7,560万ドル
Debt securities(債券):113億2,930万ドル
小計:135億490万ドル
外国人投資家は韓国の債券に113億2,930万ドルも突っ込んでいます。韓国にとってはキャッシュインですが、もちろん元利償還しなければならない借金に他なりません。
次に「その他投資」。これは外国との融資の取り引きが計上される項目です。このその他投資の資産、負債を見ると以下のようになっています。
資産:108億3,210万ドル
負債:-51億2,840万ドル
収支:159億6,050万ドル
資産が増加しているのが、外国に対して融資し対外資産が増加したことを示しています。約108億ドルのキャッシュアウトです。
対して負債の部はマイナスになっています。約51億ドルですが、つまり融資を返済したので、この分負債が減ったのです。これはキャッシュアウトになります。
問題はどのセクターで融資取引について資産・負債の増減があったのかですが、これが当月から分からなくなりました。
貿易赤字 ⇒ 経常収支赤字 ⇒ 外国からの融資が増大 ⇒ 償還できずにドボン騒動という、韓国のこれまでのパターンからすれば、どのセクターで資産・負債が増減しているのかはぜひ知りたいところなのですが。
(柏ケミカル@dcp)