国際収支統計の面から見ても、観光客の多寡はかなり大事です。
自国から外国に出掛けてお金を使うと資金流出になりますし、外国人が自国に来てお金を使うと、資金流入になります。この資金流入と資金流出の差が収支として表れます。
韓国にとっても非常に重要です。特に、貿易収支が縮小している現在、サービス収支の赤字を拡大させる「観光での収支赤字」は大きな問題となります。
Money1でも先にご紹介したことがありますが、コロナ禍で唯一韓国にとって「いいこと」があったとすれば、人の移動が制限され、観光収支での赤字が縮小したことです。
ところが、コロナ禍が一段落して人の移動が戻り、赤字が拡大しています。
――『韓国観光協会』によれば、2023年上半期、韓国の観光収支は「-46億5,000万ドル」の大赤字と集計されました。
これは2018年の「-70億6,000万ドル」以来で最大の赤字金額です(上半期基準)。
韓国からすれば、アウトバウンドの支出に比べて、インバウンドの収入の方が小さいという不均衡なのです。
同公社のデータによると。2023年上半期に訪韓した外国人は「443.1万人」。これは対前年同期比で+446.9%の人数ですが、それでもコロナ前の2019年上半期と比べると52.5%に過ぎません。
韓国のインバウンドが盛り上がらないのは、中国観光客が戻らないことが主な原因です。2023年上半期の中国人観光客は「54.6万人」で、コロナ前2019年上半期の「19.5%」に過ぎないのです。
↑韓国メディア『NEWSIS』が制作した「中国観光客数の月次推移」⇒参照・引用元:『NEWSIS』
08月10日には中国政府が「日本、アメリカ合衆国、韓国など78カ国に対する中国人団体旅行を許可する」としました。
韓国は「中国観光客が戻ってくるぞー!」と期待をかけています。
さあ果たしてそうまくいくでしょうか。ご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)