2023年08月29日、韓国企画財政部は2024年度予算のたたき台を提示しました。
結論からいえば、尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は緊縮財政を続けるつもりです。歳出は、2023年度比で2.8%(18兆2,000億ウォン)増やして656兆9,000億ウォンとしました。
歳出は2.8%しか増加させなかったのですが、医療、障害者・高齢者支援など保健・福祉・雇用に最も多い242兆900億ウォンを投じる予定です。これは7.5%増となります。
人口減で先行きが真っ暗ながら、福祉関連に大きな予算を割かざるを得ないのが韓国の現実です。
問題は歳入の方です。
先にご紹介したとおり、不景気もあって、2023年は大きく国税収入が落ち込み、07月時点で対前年比33兆ウォンも足りなくなっています。
2024年に収入が本当に回復するのか?――です。
「信用格付けの下落」が怖い
韓国政府が財政を引き締めに掛かっているのはひとえに政府負債が積み上がっているからです。
前文在寅政権が政府負債を約400兆ウォン(正確には411兆ウォン)も増やして、とうとう韓国政府負債が「1,000兆ウォン」に達してしまったので、これを減少させないと、韓国政府が最も恐れる「信用格付会社からの格付下落」がきます。
1997年のアジア通貨危機、韓国いうところの『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)危機での経験が骨身にしみていいて、格付け下落に対する恐怖は相当なものです。
いまだに韓国は急激な資金流出が来たときに支えられるのかという懸念があります。『IMF』危機(韓国では「経済的敗戦」という位置づけです)の二の舞となるような、信用格付の下落は絶対に避けなければなりません。
『Fitch(フィッチ)』が合衆国公債の格付けを、政府負債を理由に下げましたが、同様の事態を韓国は恐れています。
そもそも「支出600兆ウォン」が韓国には無理!
韓国政府の財政についていえば、そもそも文在寅政府が歳出を増やしすぎたのです。
文在寅の前、朴槿恵(パク・クネ)大統領のときの2017年の歳出はいくらだったかといえば「400兆ウォン」(正確には2017年の本予算「400兆5,459億ウォン」)です。
借金大統領・文在寅は、これを600兆ウォン超まで膨らませ、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領にバトンを渡しました。
支出は「1.5倍」に増えたのです。
韓国は、それを支えられる収入がある国ではありません。いや、そもそも5年で歳出が1.5倍に増えてそのまま、などという国はありません。
収入がない分を国債発行で補填したため負債が積み上がりました。文在寅というアンポンタンが、政府の支出を拡大、政府負債をばかみたいに拡大した結果が現在です。
もっとも、コロナ禍で政府が支出を拡大しないと仕方がない状況であったことは確かです。しかし、そのシュリンクで尹錫悦(ユン・ソギョル)政権が苦労しています。
「財政健全化に徹底して取り組む」そうです
企画財政部は以下のような文書も公開しています。
2027年までの財政運営について言及しているのですが、2024年度については
「来年度予算案は、健全財政基調を揺るぎなく堅持しつつ、強度の高い財政正常化を推進し、財政の体質を改善することに重点を置いた。
予算案編成の際、すべての財政事業の妥当性と効果性を原点から再検討し、成果なく慣習的に支援されていた事業、類似・重複や執行不振事業など、財政の漏洩要因を徹底的に遮断した」
と述べています。秋慶鎬(チュ・ギョンホ)副首相兼企画財政部長官の覚悟を述べたものですが、補助金やR&Dの予算は大幅にカットされています。
しかし、これによる問題は大きなものになるでしょう。
なぜなら、韓国の産業構造は補助金に依存している部分が大きく、また政府支出が減少することはGDPの下押し圧力になるからです。
(吉田ハンチング@dcp)