アメリカ合衆国・商務省のジーナ・レモンド長官が訪中し、商務部の王文濤部長と会談を行いました。
中国側は、自国経済が傾いているので、合衆国の投資忌避の態度を軟化させ、半導体対立を緩和したいと考えています。
しかし、今回の訪問、および会談によって合衆国が軟化するかというと、疑問です。なぜなら、議会はいまだに超党派で反中大将たちが頑張っているからです。
以下は2023年08月28日に商務部が出した会談についてのプレスリリースです。
王文濤商務部長がレモンド米商務長官と会談
王文博商務部長は8月28日、北京で来日中のレモンド合衆国商務長官と会談した。
双方は、米中首脳のパリ会談の重要なコンセンサスの履行に焦点を当て、中米間の経済貿易関係や共通の関心事である経済貿易問題について、理性的で率直かつ建設的な意思疎通を行った。
王文濤は、経済貿易関係は中米関係のバラストであると述べた。
両国間の貿易は、それぞれの経済と世界経済にとって重要である。中国は合衆国と協力し、相互尊重、平和共存、Win-Winの協力の原則を堅持し、両国の経済界が協力するための良い政策環境を作り、二国間の貿易と投資を促進することを望んでいる。
王文涛は、合衆国の対中関税301条、半導体政策、双方向投資制限、差別的補助金、中国企業に対する制裁措置に対する深刻な懸念を表明することに焦点を当てた。
王文涛は、一般化された国家安全保障は正常な経済貿易交流にとって有害であり、一方的で保護主義的な措置の実施は市場ルールと公正競争の原則に合致せず、グローバルな産業チェーンのサプライチェーンの安全と安定を害するだけであると述べた。
合衆国側は、中国側とのデカップリングを求めていないと繰り返し述べており、合衆国側がその声明を実践することを望んでいる。
王文濤・レモンド両大臣は、経済・貿易分野における中米間のオープンで生産的な対話の重要性を認識し、中米商務部間の新たな意思疎通チャンネルの設立を発表した。
双方は、具体的なビジネス問題の解決策を模索するため、企業代表の参加を得て、副大臣レベルおよび省レベルの米中政府高官で構成される作業部会を設立した。
作業部会は次官級で年2回開催される。両大臣は、定期的に連絡を取り合い、少なくとも年1回は会合を開くことで合意した。
さらに、双方はそれぞれの輸出管理制度を説明し、コミュニケーションを改善するためのメカニズムとして、輸出管理情報交換メカニズムを開始した。
双方はそれぞれの法律に従い、輸出管理に関する情報を交換する。
双方は、強化された行政許認可プロセスにおける企業秘密および企業秘密情報の保護について、両国の専門家が技術協議を行うことを協議し、合意した。
王文濤部長は「対中関税301条、半導体政策、双方向投資制限、差別的補助金、中国企業に対する制裁措置」に終点を当てた――となっています。「効いてる、効いてる」というわけです。
今回の会談の結果で面白いのは「ビジネス問題の解決策を模索するための作業部会」が作られたという点です。軍も同じですが、何があっても対話のチャンネルを作っておこうというわけです。
最悪なのはチャンネルがないことですから、経済戦争においてもチャンネルが設けられました。だからといって合衆国が中国に融和的になったというわけではありません。
また、最後に書かれている「企業の技術情報」また「技術情報の保護」について協議する――という点にも注目です。先にご紹介したとおり、中国の国務院は「中国に投資してくれ。こうするから24条」を公開しています。
こんなものはいつ空手形になってもおかしくありません。自分の思いどおりにできる中国共産党が経済の上に載っかっているからです。ルールなどあってなきが如きなのが中国です。全く信用できません。
さすがに合衆国もこのようなものには騙されないでしょうが、新たに設置される作業部会や技術・技術保護についての協議がどのように進展するのかは見ものです。
今回の会談は中国が猫なで声を出し、合衆国が「さあ、どうしようかね」と対話のチャンネルをつくった――という結果になりました。
(吉田ハンチング@dcp)