中国『恒大集団』の許家印会長も逮捕され、同社の中枢を担っていた人物も拘禁という事態になりました。
事実上すでに破綻しているわけですが、中国のネットに「『恒大集団』に融資していた銀行のリスト」なるものが流布されています。
上掲がそれですが、「冗談じゃない。間違ってるぞ!」ときっぱりと否定する銀行も登場しています。
2023年10月07日、リストに入った『滄州銀行』は自身の公式サイトで以下のようなプレスリリースを出しました。
事実関係を明らかにし、社会的懸念に対応するため、ネット上で噂されている「『滄州銀行』による『恒大集団』への銀行融資の詳細リスト」に関する内容を以下のとおりお知らせいたします:
2023年10月06日現在、当行から『恒大集団』およびその関連会社への融資額は3億4,600万人民元です。
主な借り手は、『滄州恒祥不動産開発有限公司』で、担保として十分な土地と商業店舗を有しており、全体的なリスクはコントロール可能であり、当行の経営管理および資産の質に大きな影響を与えることはありません。
なお、当行は融資の全額を回収するため、2022年07月に滄州中級人民法院に民事訴訟を提起し、勝訴しており、現在、法律に基づき担保処分手続きを実施している。
⇒参照・引用元:『沧州银行』公式サイト「关于网传我行恒大贷款情况的澄清公告」
ネットで流布しているリストでは、以下のように『滄州銀行』は「34億元融資している」ことになっているのですが、実際にはグループ企業に「3億4,600万人民元」を貸しているだけだ――というのです。
しかも、お金を返してくれないので訴訟を起こしてすでに勝訴している、現在は回収の最中だ――とのこと。
この『滄州銀行』の公表を受けて、10月08日、滄州銀行保険監督支店塩山監督グループ、塩山地方財務管理事務所、『中国人民銀行』塩山出張所が共同声明を発表。「『滄州銀行』は銀行監督管理部門に認可された合法的な金融機関であり、常に健全な運営を堅持している」と強調しました。
これまた中国のことなので「本当に?」と疑ってしまうわけですが、『滄州銀行』は以下のように2023年06月末時点での自己資本比率を以下のように開示しており――、
――いわゆるTier1が9.0017%あるとなっており、2023年03月末時点での財務状況も――
――上掲のとおり、今日明日スグに危ないという状況ではなさそうです(もちろん「開示情報を正しいとして」ですが)※。
※融資総額1,161.3億元のうち、不動産業向けが18.4%の213.5億元。不動産・住宅ローンは20.7%の240.2億元。
銀行側からすると、このようなリストを見た預金者が大挙して「預金引き出し」に動くと、取り付け騒ぎに発展する可能性があります。
上掲は『CNN』の報道ですが、
「今週ネット上に出回った 写真や動画 によると、河北省滄州市の銀行では預金者らが預金を引き出すために列をなしており、当局は冷静さを訴えた。
滄州市の警察は、恒大への暴露により銀行が資金難に陥っているという噂を広めた容疑で『多数の人物』を逮捕したと、国営メディアが水曜、同銀行に配置されている警察官の話として報じた」と書いています。
これがまさに上掲の『滄州銀行』のことで、大騒ぎだったことが分かります。
危機的状況に陥っている不動産ディベロッパーは『恒大集団』だけではないわけで、この危機が金融機関を直撃し、預金者からの信用がなくなるときは、いよいよ「おしまい」です。
それこそ人民武装部を投入することになるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)