アメリカ合衆国の映画産業に中国資本が入るに従って、映画作品について中国の検閲が入ることが多くなっています。
その一端はすでに合衆国から明らかになっていますが、『DMG Entertainment』の元社長であるクリス・フェントンさん(Chris Fenton)が回顧録『Feeding the Dragon. ハリウッド、NBA、アメリカのビジネスが直面する数十億ドルのジレンマの内側」を出版し、自身が経験した「中国当局による検閲」について暴露しました。
フェントンさんは中国市場向けの24本近くの映画製作に携わったとのこと。
フェントンさんの手掛けた『レッドドーン』のリメイク作(2012年)では、最初は敵役は「中国」だったのですが、中国の検閲担当官によって「北朝鮮」に変更して再撮影させられ、しかも本件は後々まで尾を引いたとのこと。
さらに中国の映画検閲は「中国公開版」についてだけではなく、全世界で公開する版についても言うことをきかせようとしています。
日本に関わる部分は、以下のトム・クルーズの『トップガン』の続編についてです。
(前略)
フェントン氏は、近日公開予定の『トップガン』続編のトム・クルーズのジャケットの例を挙げました。このジャケットにはもともと台湾と日本の国旗が描かれており、パラマウント・スタジオは中国市場向けに日本の国旗をぼかしたいと申し出たのですが、検閲官はその代わりに世界のどこにも国旗を見せないようにと要求しました。
(後略)
このように中国による言論統制的な動きは、合衆国産の映画にも及んでいるのです。合衆国では、超党派議員がハリウッド、映画産業に「中国資金を受け入れて言うことをきくようなことはするな」と声を上げています。
先にはディズニーの実写映画『ムーラン』が、中国・新疆ウイグル自治区で撮影を行い、しかもその協力に対して感謝を表したとして問題になりましたが、合衆国映画産業と中国に付き合い方についてはこれからも注目を浴びそうです。
(吉田ハンチング@dcp)