韓国は前文在寅大統領の時代から「K-バッテリー」と称して、電気自動車用の二次電池を次期主力輸出品目として推してきました。
実際、『LGエネルギーソリューション』『サムスンSDI』『SK ON(オン)』の三社は売り上げを大きく伸ばしてきました。韓国が世界一と誇るのも無理はありません。しかし、中国企業の追い上げが猛烈で世界一の座はすでに『CATL』の手に落ちています。
これは、中国が(内燃機関エンジンの自動車では日欧米には勝てないので)電気自動車に舵を切り、中国内で製造される電気自動車に自国企業製バッテリーを搭載するようにしたこと、また外国の電気自動車での採用が増加してこと――に起因します。
2022年通期での電気自動車用バッテリーのシェアは以下のようになります。
2022年
第1位 『CATL』……37.0%
第2位 『LGエネルギーソリューション』……13.6%
第3位 『BYD』……13.6%
第4位 『パナソニック』……7.3%
第5位 『SKオン』……5.4%
第6位 『サムスンSDI』……4.7%
第7位 『CALB』……3.9%
第8位 『Guoxuan』……2.7%
第9位 『EVE』……1.8%
第10位 『SVOLT』……1.4%
その他……8.6%※データ出典:『SNEリサーチ』
韓国企業3社は、『LGエネルギーソリューション』の2位になり、『SKオン』5位、『サムスンSDI』6位とTop10の中に入っています。ただし、合計シェアは「23.7%」で2021年が「30.7%」だったので下落しているのです。
日本企業では『パナソニック』が第4位を守っていますが、韓国企業は同社の台頭を恐れています。というのは、技術力で『パナソニック』が優位を保っており、これからシェアを上げてくるのではないかと警戒しているのです。
『亜洲経済』の記事から一部を引用すると以下のような具合です。
米国市場をめぐって韓国のバッテリー3社(LGエネルギーソリューション、SKオン、サムスンSDI)と日本との競争がさらに激しくなる見通しだ。
テスラに円筒形車載電池を供給してきたパナソニックが、米国市場の拡大を宣言したからだ。
(中略)
中国のCATLに続き、世界2位の円筒形車載電池の生産企業であるパナソニックは、米国内の円筒形電池供給量1位を占めている。
カンザス工場まで稼動を始めれば、現在40~50GWh(ギガワット時)水準であるパナソニックの米国内生産能力が200GWhまで増えることになる。
パナソニックはLGエネルギーソリューションとテスラをめぐって競争することになる。
LGエネルギーソリューションは最近、全面的な見直しに入った米アリゾナ州のバッテリー工場建設を再び推進すると発表したが、これはテスラとバッテリー供給協議が再開されたためだという。
テスラから供給契約を獲得すれば、アリゾナ州に工場を建てるという計画だ。
テスラとのバッテリー供給協議はLGエネルギーソリューションだけでなく、パナソニックとも同時に進められているようだ。両社とも円筒形電池の供給について協議を進めており、昨年4680電池のサンプルをテスラに渡している。
業界はパナソニックの優位を占っている。
テスラの立場では2018年までの10年間、独占供給会社だったパナソニックが良いというのが米国バッテリー業界の見方だ。
(後略)⇒参照・引用元:『亜洲経済』「日本との競争が激しくなった米バッテリー市場…米国内の円筒形車載電池供給量1位はパナソニック」
シェア2位の『LGエネルギーソリューション』の地位が脅かされるのではないか、という危機感が表れています。
アメリカ合衆国の自動車メーカー『GM』は、『LGエネルギーソリューション』と一緒にインディアナ州にバッテリー工場を造るといったん合意したものの、話が進まないのでこれをペンディングしています。
記事内にある円筒形電池については『パナソニック』が優位にありますので、米中対立で中国を排除することが進めば『パナソニック』には追い風です。
40億ドルを投資するカンザス州の工場は2025年から稼働する予定で合衆国の自動車メーカーにとっては、良いバッテリー供給基地になるでしょう。
韓国バッテリー企業には、『パナソニック』が独走体制に入ると「追いつけなくなるぞ」という危機感があるのです。
※4680電池については以下でご紹介しています。
(吉田ハンチング@dcp)