韓国が凍結していたイランの原油代金70億ドルは、アメリカ合衆国とイランの合意「人質開放の対価」として支払いが行われることになりました。
また、凍結資金70億ドルはウォンで保管されていたため、凍結機関中にウォン安が進行したことによって60億ドルまで減りました※。
さらには、韓国から送られた資金は『スイス国立銀行』(中央銀行:SNB)に入り、そこでユーロに両替。『SNB』からユーロでカタールの6つの銀行に送金された――という点までは既報です。
このユーロ建て資金は、イランが自由に使えるわけではなく、イラン国民の生活に必要な物資など安全保障上の脅威とならない物にのみ使用できる――という建付け。
そのため、お金が何に使われたのかはカタールの銀行が監視する、とされています。
これで、ひとまず「韓国の原油代金未払い問題」は決着したのかと思われたのですが……2023年10月07日早朝、武装集団ハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けました。
合衆国とカタールが資金凍結に合意した?
読者の皆さまもご存じのとおり、ハマスのバックにはイランがいると見られています(さらにその背後には中国がいます)。
2023年10月12日、合衆国紙『The Washington Post(ワシントン・ポスト)』が「U.S., Qatar agree to stop Iran from tapping $6 billion fund after Hamas attack」(合衆国とカタール、ハマス攻撃後のイランによる60億ドルの資金流出を阻止することで合意)という記事を出しました。
ハマスの背後にイランが動いていることを知っている合衆国が、「イランによる60億ドル規模の資金へのアクセスを阻止する」動きに出たというのです。
上記のカタールの銀行に移送された資金を再凍結することで、合衆国とカタールが合意に達した、とのこと。
同記事では、Wally Adeyemo(ウォーリー・アデイモ)財務副長官が『民主党』上院議員に対して「(その資金は)すぐにはどこにも行かないだろう」と語った――としています。
ありそうな話ではあります。しかしながら、イランメディアからはこれを否定する記事が出ているのです。例えば以下の『TABNAK』の記事です。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください/スクリーンショット⇒参照・引用元:『TABNAK』「واکنش «رئیس کل بانک مرکزی قطر» به ادعای «مسدود کردن دوباره ۶ میلیارد دلار ایران در قطر»」
上掲は2023年10月14日付の記事ですが、イラン・イスラム共和国の国連大使がワシントン・ポストの記事を否定し、このような報道は同紙の信用を毀損するものになるだろう、と述べたことになっています。
また、モロッコで開催された『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)の年次総会(10月09~15日)において『イラン中央銀行総裁』とカタールの大統領が会談を行った、としています。
さらに『カタール中央銀行』総裁が、カタールにおける「イランの外貨資源」の使用に関して、「ここ1、2日に起こったこれに関する噂には何の真実もありません」と述べた――としています。
合衆国とカタールが組めば、確かにイランに60億ドルを使わせないことはできそうですが、果たしてこの資金は本当に再凍結されたのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)