2023年12月15日、『韓国銀行』と企画財政部は、「『国民年金公団』」との為替スワップ350億ドル分の契約を2024年末まで延長する」と発表しました。
外国為替当局(企画財政部、『韓国銀行』)は国民年金公団(以下「国民年金」)と2024年末まで350億ドルの限度内で為替スワップ(FX Swap)取引を実施することに合意した。
これは、昨年04月に締結した350億ドル限度*の為替スワップ取引を来年も1年間延長することに再合意したもので、必要に応じて機関間協議を行い、さらなる限度額の拡大を検討する予定だ。
*2022年100億ドル、2023年350億ドルの限度で為替スワップ取引を実施することに合意した。
外国為替当局は、最近、外国為替需給が大幅に改善されたが、為替レートの変動性が拡大するリスクも存在しており、有事に備えて市場安定化装置を維持する必要があると判断した。
また、国民年金も海外投資に伴う為替変動リスクを緩和し、外貨資金管理の効率化を図ることができると期待される。
一方、同取引により、契約期間中に外貨保有額が一部減少する可能性があるが、満期時に資金が全額返還されるため、外貨保有額の減少は一時的なものにとどまる予定だ。
⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「외환당국, 국민연금과의 2024년말까지 350억 달러 한도내에서 외환 교환(스왑) 거래를 실시하기로 재합의」
市場のクジラである『国民年金公団』にウォン ⇒ ドルの両替をさせないようにしよう(ドルは金融当局が用意するから)――というもので、ウォン安の進行を止めるために設けました。
『国民年金公団』にドルを供与するので、当然ですが韓国金融当局が保有する外貨は減少します。
上掲のとおり、韓国金融当局は「満期のときに返ってくるので外貨の減少は一時的なもの」と書いていますが、貸せば現ナマが減るのは確かで、その分流動性は失われるのです。
実際、Money1でもご紹介してきたとおり、外貨準備高の公表でDeposits(預金)が大幅に減少するたびに「国民年金公団との為替スワップの効果もあり……」などとプレスリリースに書いてきました。
『国民年金公団』にドルを供給すると、当然外貨は減って、そのときには流動性は減少。ここに2020年初頭のようなドル強が一気に進行する状況が来たら韓国は耐えられるのでしょうか。
韓国はスグに外貨が足りなくなる国です。2008~2009年の勧告通貨危機でドル流動性スワップで調達した金額は約200億ドル、2020年のドル枯渇危機のときも、ドル流動性スワップでやはり約200億ドルを調達しています。
⇒データ引用元:『韓国銀行』公式サイト「Economic Statistics System:ECOS」
2008年12月にドンと「103億6,090万ドル」、2009年01月にも「60億7,560億ドル」の負債が増加しています。計「163億7,560万ドル」。これが「スワップ」を利用した資金流入と考えられます。
「2008年時の合衆国と韓国で締結されたスワップラインでは164億ドルが調達された」とのことですが、このように数字は合います。
2009年04月から11月まで「–」の付いた巨額が並んでいますが、これはスワップの返済と考えられます。「–」(マイナス)が付いているのは、「その分だけ資金が流出した」(負債が減少した)ことを意味しています。
また、2020年のときは契約後スグに(trade day:2020年03月31日)第1次調達として「84日満期」の「79億2,000万ドル」を利用しています。また「7日満期」の8億ドルも借りました。
韓国は、いざというときに使える現金性の外貨資産は恐らく100億ドルほどで、200億ドルないと推測します。
(柏ケミカル@dcp)