これもPF関連の話です。外信に面白い指摘が出ています。
韓国の金融ファイナンス・リース会社である『M Capital(Mキャピタル)』が流動性危機を迎えている――という内容です。
日本では一般にはさっぱり知られていない会社ですが、資産規模は3兆6,000億ウォンに達する韓国内では10位圏に入る投資屋です。
資産運用会社『STLeaders Private Equity(STリーダーズ プライベートエクイティ)』が2020年に3,750億ウォンを投入して同社の持分98.37%を取得。『セマウル金庫』が『STリーダーズPE』の特殊目的法人(SPC)『スマートリーダーズホールディングス』に59.8%を出資しているという、韓国の金融に密接に絡んだ会社でもあります。
『Mキャピタル』は韓国の不動産PFに絡んで、資産規模を膨らませてきました。
ところが、不動産市況が悪くなり、これが不良債権化するリスクが高まっています。一方でお金を調達して不動産PFにお金を突っ込んできたわけなので、当然調達した資金は返済しなければなりません。
そんな中、同社の信用格付けが引き下げられて、満期を迎える負債の借り換えが頓挫した――と報道されています。
――で、上記のとおり「流動性危機を迎えている」というわけです。流動性危機なんて書くと、なんか格好いいですが、要は「飛ぶかもしれない」というデフォルト危機があるです。
韓国内の投資銀行(IB)業界によると、『Mキャピタル』は今月末に「2,191億ウォン」の返済期限を迎えます。
また、2024年返済期限の借入金総額は「8,500億ウォン」に達します。
先にご紹介したとおり、韓国の金融委員会と金融監督院は「不動産PFを軟着陸させる」として指針を公表しましたが、これら金融当局が真に恐れているのは、不動産PF問題が金融システムに深刻な打撃を与えることです。
「建設会社が飛ぶ」ならまだマシかもしれませんが、銀行などの金融機関が不良債権化によって経営が傾いたりすると、経済を回すための血液である「お金」が回らなくなります。これは韓国経済に致命的な打撃を与えるでしょう。
だからこそ、金融当局は必死で軟着陸させないといけないのです。
しかしながら、上記のとおり韓国で10位圏内の投資屋が「詰むや詰まざるや」状態に追い込まれているのです。『Mキャピタル』だけが特殊といえるでしょうか(信用格付けが下がったのが原因とはいえ※)。
同じような話が後から次々出てくれば、または誘爆すれば韓国経済が傾く危険があります。韓国というのはそれほど脆弱な国だと見た方がいいのです。
――ですので、先にご紹介したとおり、金融当局で支援融資を斡旋するとした「5兆ウォン」なんかで足りるのか?という疑問が出てくるのです。
金融当局がどうするのか――にご期待ください。
※信用格付けが引き下げられたのは、『Mキャピタル』を買収するときに『STリーダーズ』側がセマウル金庫連合会に対して賄賂を送ったことが明るみに出たからです。実に韓国らしい話だといえます。
(吉田ハンチング@dcp)