2024年06月28日、中国の国家統計局が「対外債務」のデータを公表しています。2014年第4四半期~2024年第1四半期のデータで、対外債務なので、外国に返済しなければならない借金の量を示しています。
政府、中央銀行、銀行、直接投資に関わる企業の債務を含み、また債務の種類、例えば、短期債務、長期債務、貿易信用なども入った網羅的なデータで「中国全口径外債状況表」というものです(上掲がその一部を切り出したもの)。
これで見ると、中国の対外債務の総額は直近の2024年第1四半期(03月末)時点で、「2兆5,126億ドル」です。
対外債務総額の推移をグラフにすると以下のようになります。
興味深いのはコロナ禍とコロナ対応策として選んだロックダウンが中国の対外債務を急増させたことが分かります。
コロナ前の2019年は1年間で対外債務が「813億ドル」しか増加していませんが、
対外債務増加額
2020年:3,300億ドル
2021年:3,458億ドル
と爆増しています。そして、2021年第4四半期(12月末)時点では「2兆7,466億ドル」と史上最高額に達しました。2019年には「2兆708億ドル」ですから、32.6%も対外債務を膨らましたのです。
コロナ禍の危機で多くを外国からの借金に頼らざるを得なかったことが窺えます。
以降は債務を減らし、2023年第3四半期(09月末)時点では「2兆3,829億ドル」まで減少しました。
ところが――、
対前期比の対外債務増減
2023年第4四半期(12月末):+647億ドル
2024年第1四半期(03月末):+651億ドル
――と、また対外債務を増加させています。
さらに興味深いのはセクター別のデータです。どこが対外債務を増やしているのかというと、実は「銀行」(預金取扱機関)です。まず、中国の対外債務「2兆3,829億ドル」のうち、「1兆919億ドル」が銀行です。
しかも、対前期(つまり2023年第4四半期)と比較して「826億ドル」も債務を増やしました。資金調達に躍起になっている様が窺えます。中国の銀行は対外債務でデフォルトを起こすんじゃあるいまいな――という話です。
(吉田ハンチング@dcp)