中国はあちこちで大雨・水害に見舞われています。とうとうタクラマカン砂漠でも洪水が発生するというヘンな事態が発生しました。
2024年08月28日、新疆気象台は、08月の上旬から中旬にかけて、高山の氷雪が融けた水と持続的な強い降雨が原因で、タリム川の上流と支流の水位が上昇し、一部の低地の道路が浸水したと公表しました。
タリム川というのは、新疆ウイグル自治区に位置する中央アジア最大の内陸河川です。
全長は約2,000キロメートルで、新疆南部のタリム盆地を流れています。タリム川は、クムルダリヤ川、アクス川、ホータン川など、タリム盆地に注ぐ複数の支流が合流して形成されます。
その水源は、天山山脈、崑崙山脈、カラコルム山脈などの周囲の山々から流れ込む氷河や雪解け水で、水量は季節によって大きく変動します。特に春から夏にかけて、雪解け水が増加し、川の水量が大きくなります。
今回は、この雪解け水に加えて「持続的な強い降雨」によって川が増水。珍しい砂漠で洪水という事態を引き起こしたわけです。
↑増水した濁流。放牧している羊が水没した土地で足をとられて動けなくなる、といったことも起こっています。
なにせ乾燥地帯ですから、増水が引くのも早いかもしれませんが、中国は各地で街・村が水没。その被害は甚大なものになっていると推測されます。
中国気象台の公表によれば、2024年上半期時点での自然災害による被害規模は、
被災者:3,238万人
死者・行方不明者:322人
経済損失額:931億6,000万元(約1兆9,802億円)
※円換算は2024年08月29日「1元=20.29円」で行いました。
となっています。約2兆円の被害です。
あくまでこれは上期だけです。07月下旬から08月にかけて、中国全土で水没案件が発生しており、その被害がどれほどになったのか集計に要注目です。
(吉田ハンチング@dcp)