『現代ビジネス』に面白い記事が出ています。「世界を見れば「反中」の国はそんなに多くない」というタイトルです。以下のように書いています。
(前略)
日本が思っているほどには、世界各国の「親米」「反中」度合いは高くはありません。むしろ「親中」でなくとも「反米」だったり、先に述べたように国連で何らかの採決を取る際には中国と足並みをそろえたりという関係性を、中国はアフリカを中心に構築しつつあります。
(後略)
挑発的な記事タイトルですが、反中の国は少なくなどありません。
2023年07月27日、例えばアメリカ合衆国の『Pew Research Center(ピュー・リサーチ・センター)』が発表した「中国の好感度調査」の結果を見てみましょう。
国別「中国に否定的」な人の割合
<<高所得国 16カ国>>
ポーランド:67%(+12%)
カナダ:79%(+5%)
フランス:72%(+4%)
イスラエル:50%(+4%)
スペイン:66%(+3%)
スウェーデン:85%(+2%)
オランダ:77%(+2%)
ドイツ:76%(+2%)
オーストラリア:87%(+1%)
アメリカ合衆国:83%(+1%)
ギリシア:51%(+1%)
日本:87%(±0)
イギリス:69%(±0)
ハンガリー:50%(-2%)
韓国:77%(-3%)
イタリア:58%(-6%)<<中所得国 8カ国>>
インド:67%(+21%)
ブラジル:48%(+21%)
メキシコ:33%(+11%)
アルゼンチン:34%(+10%)
南アフリカ:40%(+5%)
ケニヤ:23%(-2%)
ナイジェリア:15%(-2%)
インドネシア:25%(-11%)※( )内は前回調査からの増減の%ポイント。高所所得国の場合は前回調査は2022年。そのため2022年比での増減%ポイント。中所得国については、コロナ禍の間は対面調査が行えなかったので、前回調査は2019年。そのため2019年比での増減%ポイントを示しています。
⇒データ出典:『Pew Research Center』公式サイト
「中所得国・高所得国の計24カ国の国民を対象に調査した結果ですが、中央値で成人の67%が中国に対して否定的、好意的であったのは28%にとどまりました。
高所得国に分類された16カ国のうち、中国に対する非好感の割合が5割を超えている国は14カ国です。
中所得国に分類された8カ国のうち、中国に対する非好感の割合が5割を超えている国は14カ国です。1カ国でした。
合計して、24カ国中17カ国で中国に対する非好感の割合が高いのです。つまり70.8%が中国を嫌いです。「反中の国はそれほど多くない」でしょうか? むしろ、日本人が思っているよりも「反中の国は多い」のではないでしょうか。
また、「中国が嫌い」という人は増加傾向にあります。
上掲の『Pew Research Center』の調査でも、前回の調査と比較して「非好感度アップの程度」が顕著で、
インド:21%上昇
ブラジル:21%上昇
メキシコ:11%上昇
アルゼンチン:10%上昇
が目立ちます。
確かに国連ではそれぞれの国が一票ずつですので、お金をまいている中国の味方になってくれる国が多く、票決では有利になるでしょう。特にアフリカは「習近平詣で」をする国があり、これを「好かれている」とするなら、そう言えるかもしれません。
しかし、中国のやり口が汚いので現地では反中国の意識を持つ現地の皆さんは増加傾向にあります。
↑ギニアで中国の国有企業『中国建筑第五工程局』(China State Construction Fifth Engineering Bureau)が給料不払いを起こし、現地の皆さんから吊し上げられっる事件がありました。「さすがアフリカ」というのは、現地労働者が自動小銃AK-47を持ち出して威嚇したところ支払われた――という点です。
中国はアフリカでもこのような事件を起こしており、お金をもらっている国の高官はともかく(中国はよその国で腐敗を広げているのです)現地の皆さんが「反中」ではない――と言い切れるでしょうか。
国というのは国民があって成立するものなのです。
はっきりいえば「金の切れ目が縁の切れ目」というヤツで、中国がお金をまけなくなったらたやすく反中に転ぶでしょう。平気で外国を脅すような国が好かれるわけはありません。
上掲の結果から見ても、欧州のほとんど、北米、オーストラリア、日本、韓国(上掲とおり韓国では77%が中国を嫌いです)、インドで「中国が嫌い(非好感度が高い)」のです。
日本人が考えているよりもずっと「反中は多い」という方が正しいのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)