CPTPPは「中国を飛ばして」コスタリカの加盟を先に協議。中国など後回しだ!

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2024年11月11月27~28日、『CPTPP』(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnershipの略:環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)の年次総会がカナダ・バンクーバーで開催されました。

総会後、CPTPP加盟国メンバーは「コスタリカの加盟について協議を開始する」と発表しました。

中国は飛ばしてコスタリカの加盟を話し合おう!


↑2024年11月28日、CPTPPが出した共同声明。

現在のCPTPPメンバーは、

日本
カナダ
オーストラリア
ニュージーランド
シンガポール
ベトナム
メキシコ
ペルー
マレーシア
チリ
ブルネイ
イギリス

(イギリスは初の非創設国として加盟成功)

――の12カ国です。

加盟申請しているのは、

中国:2021年09月16日
台湾:2021年09月22日
エクアドル:2021年12月17日
コスタリカ:2022年08月10日
ウルグアイ:2022年12月01日
ウクライナ:2023年05月05日
インドネシア:2024年09月25日

「:」は加盟申請日

――の計7カ国です。

中国が申請した6日後に台湾が申請しているところに政治的な意図がありますが、申請順に加盟を協議するのであれば、次は「中国」を対象にするべきなのです。

しかし、CPTPPメンバーは「中国」を飛ばし、「台湾」「エクアドル」も飛ばして「コスタリカの加盟を協議する」とし、「歓迎する」と述べました。

上掲した共同声明には以下のように書いています。長いですので、面倒くさい方は次の小見出しまで飛ばしてください。

(前略)
1. Priority 1: Accessions
Expanding the CPTPP ensures it remains a dynamic and living agreement. Bringing in the United Kingdom, the world’s sixth-largest economy, a third G7 member, and a leading advocate for high-standards and rules-based international trade and investment is a clear demonstration of the value, interest in, and benefits of CPTPP accession.

Further reflecting the importance we place on the Agreement’s expansion, Parties have achieved consensus to take a Commission decision to establish an Accession Working Group for Costa Rica to be chaired by Peru and vice-chaired by Canada and New Zealand. In making this decision, the Commission took into consideration the Auckland Principles, namely:

preparedness to meet the Agreement’s high standard
a demonstrated pattern of complying with trade commitments
recognition that decisions are dependent on the consensus of Parties

Today’s decision is but one step in the process. We look forward to working with Costa Rica to engage in technical discussions, including legal and policy matters related to its compliance with all the existing rules, receiving Costa Rica’s highest standard market access offers, and negotiating the terms and conditions of its accession.

Costa Rica’s potential membership would support the mutual interests, common values and commitment to upholding the rules-based trading system shared by the Members. It would also promote market-oriented principles and help to counter protectionism and the use of unjustified trade restrictive measures. For the CPTPP to continue to be at the cutting-edge of trade rules and liberalisation, we also instruct senior officials to discuss how to move forward collectively on accession processes in a way that reflects all our interests and maintains the high standards of the Agreement.

We welcome the continued and growing interest from economies to join the CPTPP, acknowledging the 6 further accession requests. We remain committed to advancing discussions related to accession and affirm that the CPTPP continues to welcome the interest of, and remains open to, accession by economies that can satisfy the 3 Auckland Principles, so that the benefits of the Agreement can continue to grow through the accession process. The establishment of an Accession Working Group for Costa Rica will not prevent the consideration and discussion of the remaining accession requests by CPTPP Members.

<<以下が上掲引用部分の全訳>>
優先事項1:
CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)の拡大は、この協定が動的かつ生きた合意であり続けるために重要です。

世界第6位の経済規模を持つ国であり、G7加盟国としては3か国目、また高い基準とルールに基づく国際貿易と投資の推進において先導的な役割を果たすイギリスの加盟は、CPTPPの価値、関心、そして加盟による利益を明確に示しています。

コスタリカの加盟に向けた進展
協定の拡大に重きを置く姿勢をさらに反映する形で、加盟国はコスタリカの加盟を審議するための「加盟作業部会」を設置するという委員会決定に合意しました。

この作業部会の議長はペルーが務め、副議長はカナダとニュージーランドが担当します。この決定にあたって委員会は以下の「オークランド原則」を考慮しました。

1.協定の高い基準を満たすための準備状況
2.貿易上の約束を遵守してきた実績
3.加盟国全体の合意が決定の条件であること

本日の決定は、プロセスの一歩に過ぎません。

われわれはコスタリカとともに、すべての現行ルールへの準拠に関連する法的および政策的事項を含む技術的な議論に取り組み、最高基準の市場アクセス提案を受け、加盟条件について交渉を進めることを楽しみにしています。

コスタリカ加盟の意義
コスタリカが加盟することになれば、加盟国が共有する共通の利益、価値観、およびルールに基づく貿易システムの維持へのコミットメントを支えるものとなります。

また、市場志向の原則を推進し、保護主義や不当な貿易制限措置の使用に対抗する助けとなるでしょう。CPTPPが引き続き貿易ルールや自由化の最前線に立つため、加盟プロセスを全体の利益を反映し、協定の高い基準を維持する形で進める方法について、高官に議論を指示します。

加盟希望国への対応
我々はCPTPPへの加盟を希望する経済圏が増え続けていることを歓迎するとともに、さらに6つの加盟申請があることを認識しています。

加盟に関連する議論を進展させることに引き続き尽力すると同時に、CPTPPは今後も「オークランド原則」の3つを満たす経済圏の加盟希望を歓迎し、開かれた姿勢を維持することを確認します。これにより、加盟プロセスを通じて協定の利益が拡大していくことが期待されます。

最後に、コスタリカの加盟作業部会の設置は、CPTPP加盟国が他の加盟申請について検討・議論することを妨げるものではありません。

⇒参照・引用元:『イギリス政府』公式サイト「Policy paperComprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership (CPTPP) joint ministerial statement, 28 November 2024」

CPTPPには「オークランド原則」がある!

特にご注目いただきたいのは、強調文字の部分です。

「Auckland Principles(オークランド原則)」と呼ばれるもので、CPTPPに加盟を希望する国や地域が満たすべき主要な基準を指します。

この原則は、CPTPPへの加盟手続きにおける公正性と高い基準を確保するために設けられた指針です。

1.協定の高い基準を満たすための準備が整っていること
CPTPPは、貿易や投資、知的財産権、環境保護、労働基準など、非常に高い規制基準を設定しています。加盟を申請する国や地域は、これらの基準を達成するための法制度や政策の整備が必要です。

2.貿易上の約束を遵守してきた実績があること
過去の貿易や投資協定において、義務や約束を履行してきた実績が重要です。これにより、CPTPPの枠組み内で信頼できるパートナーであることを証明する必要があります。

3.加盟国全体の合意(コンセンサス)が必要であること
CPTPPの加盟には、既存の加盟国すべての合意が不可欠です。すなわち1か国でも反対すれば加盟は認められません。

このオークランド原則を準則を守る国しか加盟できません。特に「2」の「貿易上の約束を遵守してきた実績があること」は重要なポイントです。

中国のような国、国際法を順守しない韓国もCPTPPに加盟する資格などありません。

今回の声明でCPTPPは、申請順番に加盟を協議するのではない、その国をオークランド原則に照らして、プライオリティーをつけて加盟申請を協議するのだ――と明言しました。

非常に正しい態度です。

『WTO』に中国を加盟させてしまったために、もはやルールを守らせる機能を持つ国際機関ではなくなってしまいました。二度とこのような轍を踏むべきではないのです。

CPTPPは、自由民主主義、自由主義経済国の貿易について、『WTO』に代わる組織になれる可能性があります。この新しい芽の成立に日本が主導的な役割を果たしたというのは、誇らしい限りです。

中国はメンツ丸潰れ

中国はかねてより、どうしても台湾より先に加盟するべく、「次は中国だよね」と世界にアピールしてきました。

日本「中国はTPPには入れません」vs 中国「次は中国の番だろ!」
2023年07月16日、イギリスが正式に12番目の『TPP』加盟国となりました。日本メディア『産経新聞』の報道によれば、後藤茂之担当大臣は16日の閣僚級会談後の記者会見で、以下のように報じています。「威圧的な対応や法令順守に的確な対応をして...

上掲は2023年07月の記事ですが、中国共産党の御用新聞『Global Times』は「申請提出の時間的順序によると、CPTPPは次に中国の加盟について議論すべきであり……」という主張をしていました。

どう議論すべきかは、こっちで決めるわ!――という話なのですが、今回のCPTPPの決断によって、中国は蹴っ飛ばされたことになります。

だから申請順じゃないんだってば!」というのが回答です。

上掲の共同声明の「CPTPP加盟国が他の加盟申請について検討・議論することを妨げるものではありません」は実に傑作で、要は「扉はいつも開かれていますよ」という木で鼻をくくるような意見表明です。

門戸はいつも開いていますが、資格を満たした人しか入れません!――というわけです。

いずれにせよ中国のメンツ丸潰れですね。

中国のCPTPP加盟申請について、麻生閣下は以下のように語っていました。

「国有企業のルールの話とか、えらい細かく書いてある。(中略)その上で新規加入できるような状態ですかね、今の中国は……とは単純には思いますけどね」

↑上記発言を報じた日本『TBS NEWS』のYouTubeチャンネル

そもそも資格を満たしていませんし、中国など加盟させてもロクなことにはなりませので、蹴り飛ばし続けるのが当然です。

(吉田ハンチング@dcp)

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