中国最大級『中軟国際』で騒動。3つの条件を提示して給与削減・人員カット

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中国に『中软国际(中軟国際)』という巨大なIT関連企業があります。

同社は2000年に設立され、現在では株式を香港に上場しています。

「北京、西安、南京、深セン、上海、香港など中国国内28都市と米国、日本、インド、マレーシア、シンガポールなど18都市に支社を持ち、全世界で6万人以上の従業員を擁しています」と自ら説明するほどの巨大企業です。

2023年末時点で従業員数「6万9,976人」

企業概要(『Bloomberg』による説明)
中軟国際[チャイナソフト・インターナショナル](Chinasoft International Limited)はIT(情報技術)サービス会社。中国の政府機関およびそのITサービス・プロバイダーを対象に、ソリューションを開発・提供する。ITコンサルティングやトレーニング・サービス、ITアウトソーシングサービス、スタンドアロン・ソフトウエア製品も提供する。

このIT巨大企業で、賃金カットが実施されたとして騒動が起こりました。


↑給与の減額に抗議する従業員の皆さん。

中国語メディアに出ている報道によると、現在IT中心製品部では給与削減が確認されており、その他の影響を受ける部門についてはまだ不明――とのこと。

給与カット・人員削減の3つの条件提示

従業員からは「会社は給与を削減しながらも新規事業を積極的に拡大しており、一方で幹部の給与や福利厚生には全く手がつけられていない」との不満が噴出。

流布されている情報によると、会社は3つの選択肢を提示したとのこと。

1.給与を13ヶ月分+の形で換算し、超過分を年末の業績評価に基づいて支給する。
2.給与を直接18%削減する。
3.3月末までに自主退職する。

「1」が分かりにくいですが、「給与を年間13カ月分として計算し、通常の12カ月分の給与とは別に、1カ月分の給与(またはそれ以上)を業績評価に応じて年末に支給する」ということでしょう。

つまり、通常の12カ月分の給与に加えて、1カ月分(またはそれ以上)を「業績評価に基づくボーナス」として年末に支給する形に変更する、という提案です。

一見「ボーナスが増える」ように見えるかもしれませんが、実際には月々の給与を減額しようという話です。「朝三暮四」みたいですね。企業側は「ボーナスの支給額を業績次第で変動させる」といっているわけですが、業績が悪ければ最終的に受け取る総額が減る仕組みです。

の3つの選択肢からいずれかを選ぶよう求められたが、書面での通知は一切なく、口頭での通達のみだった。さらに、給与削減の明確な理由も示されず、強制的に実施されることが従業員の不満をさらに高めている。

従業員からの抗議に対し、現時点で会社側は「事務員」と称する人物を派遣し、従業員の意見を聞き取る対応をしている、とのこと。ただし、抗議について何ら回答はなく「上層部との協議で解決する」と約束するのみ。

証拠を残させないためのメールシステムなのか

面白いのは、従業員によるリークと考えられる――『中軟国際』の社内メールシステム――についての説明です。

「従業員がメールを受信することはできるが、送信したメールの履歴が送信箱に残らないよう設定されている」というのです。

うがった見方かもしれませんが「これは、会社側が証拠を残させないための意図的な措置ではないか」と指摘されています。

また、一部のネットユーザーからは「クライアント(発注元)は十分な報酬を提示しているのに、実際に従業員に渡る金額は中間で大幅に削減されている」との指摘があります。

同社は、過去に2万2,000人の従業員を解雇した前例があるのです。

IT関連アウトソーシングの仕事が急減する不景気なのだ

なぜこんなことになっているかというと、これは『中軟国際』の業務に関係があると考えられます。同社は「アウトソーシング事業」で急速に業績を伸ばした会社ですが……以下の資料をご覧ください。


データ出典:『中軟国際』公式サイト「IR」

サービス収入の売上が2023年時点で「166億3,200万元」もあります。ざっくり21倍で換算しても売上が「約3,492億円」です。

なぜこんな会社が賃金削減、人員カットに乗り出さなければならないのか――というと、売上の低下に原因があると考えられます。2022年は「194億9,000万元」あった売上が2023年「166億3,200万元」へと約14.7%も減少しています。

つまり中国が不況になって、ITアウトソーシングの仕事が急減したのです。2024年はさらに悪化しているはずで、人員を抱えることに耐えられなくなった――のではないでしょうか。

上掲のように、クライアントからの支払いを中抜きしているならなおのこと、その取り分を減らさないためには給与カット、人員削減を実行して自分の身(会社上層部)を守るしかありません。

中国は無茶苦茶になっており、もはや人を切るしかないのです。切られた人の痛みなど全く考えていないでしょうが。

(吉田ハンチング@dcp)

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