先にご紹介したとおり、2025年03月04日(現地時間)に行われた就任後初の上下院合同の議会演説で、アメリカ合衆国のトランプ大統領は韓国を名指して「韓国の関税は米国の4倍」と指摘、「不公平だ」と述べました。
これは「本当のこと」でしょうか?
なにせ、このトランプというオッサンは第1期からウソばかり言う人なのです。
『The Washington Post(ワシントン・ポスト)』紙の集計によれば、第1期トランプ政権時には「任期中の4年間で、3万573件の虚偽または誤解を招く主張をした」となっています。
今回のトランプ大統領の主張について、スグに以下のような説明のリリースを出しました。
□アメリカ合衆国のトランプ大統領は 03月04日(現地時間)、ワシントンD.C.で行われた上下両院合同会議での演説において、「韓国の平均関税率は(合衆国より)4倍高い」と発言し、多くのメディアがこれを報じました。
<<政府の立場>>
□米韓FTA(2012年発効)に基づき、両国はほとんどの製品の関税を撤廃しており、2024年現在、対米輸入品に対する実効関税率は0.79%程度となっています。実効関税率 =(関税収入)÷(全体の対米輸入額)、税還付を考慮しない税率
□韓国の最恵国待遇(MFN)適用関税率(2024年基準:韓国 13.4%・米国 3.3%)は米国の約4倍ですが、これは 二国間協定のないWTO加盟国に適用される税率で、韓国が米国から輸入する商品に適用している「米韓FTA協定税率」とは異なる概念です。
□今後、韓国政府は米国とのさまざまな協議チャンネルを通じて、これらの内容を積極的に説明していく計画です。
⇒参照・引用元:『韓国 産業通商資源部』公式サイト「대미(對美) 수입품에 대한 우리나라관세율은 사실상 0% 수준입니다.(対米輸入品に対する韓国の関税率は事実上0%水準です。)」
トランプ大統領が述べた「韓国は4倍の関税を合衆国にかけている」という主張は、米韓FTAで定めた現状の関税率と大きく異なっている――と反論しました。端的にいえば、トランプ大統領の発言は「ウソだ」(事実ではない)といったわけです。
実際、韓国についてだけではないのです。
例えば『AP通信』や『The Guardian』、『Market Watch』などは、03月04日のトランプ大統領の演説には虚偽や誤解を招く主張が含まれていると指摘しています。以下に主要なものをまとめてみます。
移民と国境管理
トランプ大統領は、最近の不法入国者数が過去最低であると主張しましたが、これは月間データが2000年以降しか存在しないため、限定的な比較に過ぎません。 関税政策
彼は、中国などへの関税が経済に大きな利益をもたらすと述べましたが、多くの経済学者はこれらの関税が経済成長を阻害し、インフレを引き起こす可能性があると指摘しています。 社会保障
トランプ大統領は、150歳以上の受給者に社会保障給付が支払われていると主張しましたが、これはデータベース上の不備によるもので、実際に支払いが行われているわけではありません。 経済状況の継承
彼は、前政権から厳しい経済状況を引き継いだと述べましたが、実際には強固な雇用状況と経済成長が既に存在していました。 電気自動車に関する誤解
トランプ大統領は、前政権が電気自動車の義務化を行ったと述べましたが、これは拘束力のない目標に過ぎませんでした。 軍の採用成功に関する誤解
彼は、陸軍の採用成功を自身の功績としましたが、これは彼の任期前に設立された予備プログラムの影響が大きいとされています。
トランプ大統領はこれからも虚偽を述べて、例えば日本をも標的に非難するでしょう。そのときには、毅然とした態度で「それは事実ではない」と反論すること、できることです。
韓国の産業通商資源部がスグに反論ペーパーを出したのは良い対応だったといえるでしょう。もっともトランプ大統領は韓国の反論など歯牙にも掛けていないでしょうが。
(吉田ハンチング@dcp)