中国・40℃超えの山東省「96万人のEVユーザーも激怒」暑くて電気自動車の充電も捗らない。

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中国の東北部では「暑っ!」という高温に悩まされています。


↑例えば2025年07月05日15:00の中国本土の高気温のTop10。山東省は40℃を超えています:データ出典:『中国 国家気象台』

実際平均気温が上昇しており「暑っ!」となっても当然です。

気温が上がって困るのは電気自動車です。まず『搜狐』の「電気自動車なんか乗ってらんない」という嘆きの投稿記事から一部を以下に引きます。

今年の夏、山東省の天気がとんでもないことになっています。

まれに見る猛暑が襲来し、多くの日で40℃を超えています。

想像してみてください。

愛車がこんな高温にさらされたら、急に“手に負えなく”なってしまい、航続距離が大幅に落ち、安全性にも不安が出てきます。

これは私の作り話ではありません。

山東では、本当に96.6万人もの電動車(EV)オーナーが頭を抱えています。多くのオーナーが不満を爆発させています。「この電気自動車は、もうオレを“引退”させたいのか!」と。

そこで問題なのですが、新エネルギー車(EV)は果たして今後も買い続けてよいのでしょうか?

想像してみてください。

気温40℃の中、急速充電など夢のまた夢です。

本来なら30分で満充電できるはずのバッテリーが、倍から三倍の時間を要することもあります。

電力需要がピークとなる時間帯は電力網にかかる負荷も増し、充電設備は一層高い耐久力が必要となります。電力供給にも余裕がなく、充電するたびにEVオーナーの忍耐と意志力が試されます

しかも、高温で充電が大変なのは、ほんの一部の人の問題ではありません。

山東省では少なくとも96.6万人のEVオーナーがこの夏その大変さを経験しています。

これはバッテリー技術だけの問題ではなく、充電インフラの未整備も大きな要因です。新エネルギー車の数は急速に増えているのに、充電施設の整備が全く追いついていません。

EVメーカーも頭を抱えています。

現在のEVにはおおむねスマート冷却システムが搭載されていますが、設計段階ではこんな極端な高温を想定していなかったのでしょう。

メーカーは今、冷却システムの改善に頭を悩ませており、幅広い環境温度に対応できるよう改良を進めています。

同時に、専門家も政府に対して、都市計画において充電インフラを充実させ、特に夏場に涼しい充電ステーションの設置を増やすよう提言しています。

Recurrent社の報告によると、外気温が38℃を超えると、EVの航続距離は明らかに影響を受け、一部のモデルでは航続距離が最大31%も低下するとのことです。

日常的にEVを使っている消費者にとってこれは大きな打撃であり、安全性や信頼性への不安をさらに強めています。
(後略)

上掲のとおり、40℃を超える高気温にさらされている山東省には96万人を超える電気自動車のオーナーがおり、「充電問題」で悩まされているのです。

気温が下がると車載用バッテリーが放電しやすくなり、消耗が大きくなって電力切れが早くなります。2024年01月には低温になったシカゴなどで、充電器の周りに動けなくなった電気自動車の屍累々という状況が出現しました。

一名「テスラの墓場」です。


↑2024年01月、氷点下20~30℃まで冷えこんだシカゴでテスラの急速充電ステーションが凍てつき、電池切れで動けなくなったTesla車が長い行列を作りました。

この現実を見てアメリカ合衆国ではハイブリッド車の需要が大きく高まりました。

実は気温が上がっても車載用バッテリーの性能は落ちるのです。

同記事内で紹介されている「Recurrent社の報告によると、外気温が38℃を超えると、EVの航続距離は明らかに影響を受け、一部のモデルでは航続距離が最大31%も低下する」という記述のオリジナルは、以下です。

電気自動車が非常に寒い気候で航続距離の一部を失うことはすでに知られていますが、では夏の暑さではどうでしょうか?この調査は、29,716台の電気自動車から得られたリアルなデータによってその疑問に答えます。

主なポイント:
電気自動車は暑い気候でも完全に正常に動作します。

気温90°F(32°C)では航続距離の損失は最小限です。
気温が100°F(37°C)に達すると、航続距離への影響は17〜18%になる可能性があります。
(後略)

⇒参照・引用元:『Recurrent』「How Hot Summer Weather Affects EV Range」

気温32℃では航続距離の減少はそれほど気にならないのですが、これが38℃を超えると航続距離の減少幅が大きくなってしまい18%も短くなる可能性がある――としています。

『Recurrent』は約3万台の電気自動車のデータを調査したリアルなデータとしていますので、恐らくそのとおりなのでしょう。

また記事内にあるバッテリー充電の時間が長くなるというのは、クルマに搭載されたBMS(バッテリーマネージメントシステム)の影響と考えられます。

また、高温時にはステーション側でも機器を保護するために出力を抑えるケースがある――とのこと。

リチウムイオンバッテリーは高温に弱く、劣化や発火のリスクがあります。そのため、高温時にはBMSが働いて、充電電流を制限します。これによって充電時間にかかる時間が長くなる――というわけです。

暑いのでクルマの航続距離が短くなり、充電にいけば長く待たなければならない――という最悪の事態になるわけです。

電気自動車メーカーは効率の良い、かつ安全なBMSを開発しなければなりません。

(吉田ハンチング@dcp)

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