韓国は何にでも「K」を付けるヘンな国ですが、最近は「K-カルチャー」と呼び、K-POPやウェブトゥーン、映画を誇っています。
しかし韓国映画はだんだん斜陽になっており、瀕死状態と形容されることもある――というのが現状です。
今でも映画『パラサイト 半地下の家族』※が引かれることが多いですが、これは2019年の作品で、もう5年以上前の栄光なのです。
※韓国映画初のカンヌ国際映画祭「パルム・ドール」受賞、アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門受賞。
韓国映画産業は「20年で最悪」の状況
韓国映画業界は実績の悪化に苦しんでいます。直近では観客動員数(年間入場者数)は、
2024年:1億2,310万人
※『KOFIC』集計による
となっており、これは2019年比で約56%水準に過ぎません。対前年比でも-1.6%でした。
2025年はさらに状況は悪化しており、上半期は「この20年で最悪」という状況になっています。
2025年上半期
総観客数:4,250万人(-32.5%)
総興行収入:4,079億ウォン(-33.2%)
※『KOFIC』集計による
観客動員も興行収入も大きく落ち込んています。
この理由については「当たり作品が少ないこと」が挙げられるのですが、劇場運営の苦戦があるのも確かです。
スクリーンの縮小・赤字が続いているのです。最大手『CJ CGV』は2025年03月に国内4館の閉鎖を発表。2025年第2四半期の純損失が「358億ウォン」に達しており、興行環境の厳しさは財務に波及しています。
早い話が、
ラインアップ不足 ⇒ 興行低迷 ⇒ 投資縮小
――という負のスパイラルに入っているのです。
韓国政府が「補助金出すぞー!」
こういうときは韓国政府が毎度おなじみの動きをします。そう「補助金の投入」です。
2025年09月05日、韓国の文化体育観光部が「韓国映画回復のための「心肺蘇生術」稼働」というプレスリリースを出しました。
「心肺蘇生術」という表現に危機感が現れています。
文化体育観光部(崔輝永(チェ・フィヨン)長官、以下「文体部」)は、’26年映画分野予算政府案が1,498億ウォンで確定したと明らかにした。
これは2025年比で669億ウォン(80.8%)増加したもので、コロナ19緊急支援が編成されていた2022年を除けば歴代最大規模である。
コロナ以降、劇場観客数の回復が遅れ、韓国映画産業の沈滞が長期化するのではないかという懸念が続く中で編成された今回の予算案は、韓国映画の回復のための支援が切実だという映画界の声を積極的に反映した結果である。
崔長官も映画界懇談会(08月14日)と記者団懇談会(09月04日)で「韓国映画を生かすための心肺蘇生術レベルの緊急対策が必要だ」と強調したことがある。
文体部は今回の予算案を通じ、映画界と観客の双方が体感できる全方位的な支援体制を整備する。
まず、映画企画開発支援(80億ウォン、33億ウォン増額)を拡大し、2023年まで続けてきた、公開実績がある制作会社に次回作企画開発費を支援(17億ウォン)する予算を別途編成する。
大衆性と芸術性を兼備した中規模予算映画の制作支援(200億ウォン、100億ウォン増額)も強化する。
「見る価値のある」韓国映画の供給を大幅に増やすことで、韓国映画産業に活気を吹き込む計画である。
また、韓国映画の土台である独立・芸術映画の観客アクセス性を高めるため、上映支援事業(18億ウォン)を新設し、国内外映画祭育成支援(48億ウォン、15億ウォン増額)を強化する。
映画投資の呼び水の役割を果たす母体ファンド映画口座の出資(700億ウォン、350億ウォン増額)は前年に比べ倍増し、1,400億ウォン規模のファンドを造成して映画投資活性化の基盤も強化する方針だ。
併せて、先端技術が映画産業に積極的に活用されるよう、人工知能(AI)基盤の映画制作(22億ウォン、新規)を新たに支援し、釜山機張撮影所内に「バーチャルプロダクションスタジオ」(164億ウォン、新規)を構築して基盤造成にも力を注ぐ。
文体部のチョン・サンウォンコンテンツ政策局長は、
「優れた力量の人的資源と豊富な創意力を基盤に目覚ましい成長を遂げてきた韓国映画産業が速やかに回復し、『K-コンテンツ』の未来を牽引する主役として再び位置づけられるよう、文体部は惜しみない支援を続けていく」
と述べた。
心肺蘇生で「1,498億ウォン」突っ込むことになりました。
「お金がないのは首もないと同じとゆって……」は西原理恵子先生の名言。
「あった方がいい」のは確かですが、「コンテンツ産業」は当たるも八卦、当たらぬも八卦。お金を突っ込んだから当たる――というものではありません。
この心肺蘇生がうまくいくかどうか、要注目です。
(吉田ハンチング@dcp)







