韓国政府で面白い動きがありました。
まず、2025年12月28日、韓国大統領室が出したプレスリリースをご覧ください。
長官級・次官級人事に関するイ・ギュヨン広報疎通首席のブリーフィング
2025年12月28日李在明(イ・ジェミョン)大統領は本日、長官級3名、次官級2名、特別補佐官2名をそれぞれ任命しました。
まず、企画予算処長官候補者にイ・ヘフン前議員を指名しました。
イ・ヘフン候補者は、国会予算決算特別委員会幹事、KDI(韓国開発研究院)研究委員などを歴任した政策と実務に精通した人物です。
経済民主化の理念に基づき、最低賃金法、利子制限法の改正案などを代表発議し、財閥の不公正取引根絶と民生活性化政策を推進した経歴があります。
長年の議員活動を土台に、まもなく発足する企画予算処が国家の中長期戦略を緻密に策定し、将来の成長動力を回復させる適任者であると判断されます。
(後略)
企画予算処の初代処長にイ・ヘフンさんを指名したのです。

↑イ・ヘフンさん。保守寄りの政党(セヌリ党、未来統合党)で活動し、財政・経済分野に精通した人物と評されています。これまでに3度国会議員を務めましたが、2020年の第21代総選挙には公認を得られず出馬できませんでした。
「企画予算処」って何?
韓国大統領に成りおおせた李在明(イ・ジェミョン)さんは、政府組織の改変を決定しました。これについては先にご紹介したとおり、企画財政部は「予算の編成」についての機能を切り出して、別組織となります。これが「企画予算処」です。
2026年01月02日付で韓国政府が新設する国家行政機関で――、
❶予算編成
中央政府の国家予算案の企画・編成を行います。
(従来は企画財政部が担当していた予算作成権が移管されます。
❷財政政策の企画・管理
財政に関する中長期的な計画立案や方針策定、財政政策の管理を担当します。
❸中長期の国家戦略立案
予算のみならず、国家の中長期的な発展戦略や政策設計にも関わる重要な役割を担います。
――上記のとおり非常に重要な仕事を担います。
面白いのは、この新設機関が「国務総理(首相に相当)の直轄組織」であることです。
ただし、韓国の政治制度では首相は大統領制下の補佐役に位置し、政治的・行政的な最終責任や任命権は大統領にあります。
つまり、首相傘下に置くことで形式的な分権・調整機能を演出しつつ、実質的な政策決定は大統領の意向が強く反映される可能性が高いという点を理解しておかなければなりません。
要するに、これは単なる「政治ショー」です。何を企図しているかというと、政治的立場を超えて有能な人材なら重要ポジションに登用するよ――というポーズに過ぎません。
韓国メディアでは、さっそくこの発表に併せて「さすが李在明(イ・ジェミョン)」みたいな記事を出しています。ばかだなあ、もう――です。
保守寄り勢力に参画していた元国会議員が李在明(イ・ジェミョン)さんの政府に取り込まれた――ということで、『国民の力』はさっそくイ・ヘフンさんを党から除名しました。
『国民の力』から見ると「裏切り者だ」というわけです。
(吉田ハンチング@dcp)







