先からお伝えしていますとおり、韓国銀行は韓国版「無制限の金融緩和」を実施中で、これで心配された流動性の危機(要はお金が回らないってことです)を乗り切ろうとしています。
韓国では「社債が償還できない」「ロールオーバーのためのCP(コマーシャル・ペーパー)が発行できない」「発行しても投資家が買ってくれない」という状況に陥っているのはご紹介しました。
そのため各企業・証券会社などは「社債・CPも買い入れてほしい」と政府に要望を出していますが、政府は法律上の建付でそれはできないと拒否しています。
2020年04月09日、韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は、政策金利を凍結、現在の流動性供給策を継続することを示しました。市場が安定を取り戻してきているので、このまま推移すれば大丈夫と読んでいるわけです。
しかし、一方で「危ないのでは」という声も根強くあります。以下に『亜州経済』2020年04月10日の記事から引用します。
(前略)
問題は、このように積極的な流動性供給政策を活用したにもかかわらず、金融市場のあちこちで破裂音が聞こえているということだ。最近、社債・CP市場が極度に梗塞された姿を見せており、このため相当数の与信専門会社が資金不足で困難を経験している。
(中略)
ただ、極度に投資心理が萎縮した社債・CP市場が、このような間接的措置で回復されるかは未知数だ。
今年第2四半期満期が到来する社債は計8兆9000億ウォンと集計される。年末まで勘案すると、20兆6000億ウォンの社債満期が到来する。
CPは第2四半期中に11兆4000億ウォンなど、年内15兆4000億ウォンの満期が到来する。
社債とCP全体を勘案すると、満期到来分の規模は36兆ウォンに達する。
しかし、冷え込んだ投資心理のせいでなかなか社債・CPを発行して再び資金を調達するのは難しい状態だ。
金融業界では、早ければ今月社債・CP市場で大規模な危機が発生する可能性があるという警告が出ている。
(後略)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
というわけで、社債・CPについて、また証券会社の危機についてはまだ火種がくすぶっている状況なのです。
爆発しないかどうかはまだ分かりません。
重要な追記
韓国銀行が「社債を担保にお金を融資しようか」と態度を軟化させましたので、以下の記事を制作しました。併せてお読み頂ければ幸いです。
(柏ケミカル@dcp)