『韓国銀行』が「金の保有量を増やします」⇒「金を経由するドル入手」手段ではないのか?

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Money1では毎月、韓国の外貨準備高をご紹介しておりますが、「Gold(金)」の金額はずーっと変動しておりません。

中国になると時価総額で計上しており、金の保有量(104.4トン)が増えなくても金額は変動します。ところが、韓国の場合は時価総額計算していないので、ずーっと変動しておりません。いつも「48億ドル」です。

つまり保有量も増減していないのです。

ずいぶん前に柏ケミカルくんがご紹介したことがありますが、韓国も金の保有量を増やした方がいいんじゃないのか――と議論がありました。特に金価格が上昇の一途だった際には、韓国メディアでも「金保有の進め」みたいな記事が登場いたしました。

それでも韓国の外貨準備における金は増加しませんでした。

ところが、ここにきて『韓国銀行』が「金を増やす」と言い出しました。

韓国メディア『朝鮮日報』の記事から一部を以下に引用します。

『韓国銀行』は、2013年02月を最後に中断していた金の買い入れを再開する。

『韓国銀行』は「国内の金生産企業から輸出用の金を購入する新たな方式を含め、中長期的に外貨準備に占める金の比率を拡大する予定だ」と明らかにした。

また『韓国銀行』は、現物の金とは別に、最近、金を原資産とするアメリカ合衆国のETF(上場投資信託)の購入も開始したと明らかにした。

ただし、ETFは外貨準備を集計する際には金ではなく有価証券に分類される。

『韓国銀行』は、金仲秀(キム・ジュンス)前総裁の時代である2011~2013年に金を買い入れ、保有量を104.4トンまで増やした。

しかし、その後まもなく金価格が下落すると、政界から激しい攻撃を受け、それ以降13年以上にわたって金を追加購入してこなかった。

その間、他国の中央銀行は地政学的リスクへの対応として金保有量を増やしてきた。

その結果、『韓国銀行』の金保有量は世界金協会が集計する100カ国中40位、外貨準備に占める金の比率は3.5%で、チリとコロンビアを除けば最も低い98位にとどまっている。

韓国の外貨準備高が世界13位であることを考慮すると、非常に低い順位である。
(後略)

⇒参照・引用元:『朝鮮日報』「한은 13년 만에 金 다시 산다…”금 ETF는 이미 매입”」

やたらランキングを気にする韓国らしい記事といえますが、これから金の保有を拡大する――とのこと。ちなみに、同記事が気にしているランキングと保有量は以下のようになります(2026年07月時点:データ出典『World Gold Council(世界金協会)』)。

第1位 アメリカ合衆国……8,134トン
第2位 ドイツ……3,350トン
第3位 『IMF』(国際通貨基金)……2,814トン
第4位 イタリア……2,452トン
第5位 フランス……2,437トン
第6位 中国……2,332トン
第7位 ロシア……2,292トン
第8位 スイス……1,040トン
第9位 インド……881トン
第10位 日本……846トン
第11位 ポーランド……614トン
第12位 オランダ……613トン
第13位 トルコ……535トン
第14位 『ECB』(欧州中央銀行)……507トン
第15位 台湾……424トン
第16位 ウズベキスタン……423トン
第17位 ポルトガル……383トン
第18位 カザフスタン……361トン
第19位 サウジアラビア……323トン
第20位 イギリス……310トン
第21位 レバノン……287トン
第22位 スペイン……282トン
第23位 オーストリア……280トン
第24位 タイ……235トン
第25位 ベルギー……227トン
第26位 シンガポール……194トン
第27位 アゼルバイジャン……178トン
第28位 イラク……175トン
第29位 アルジェリア……174トン
第30位 ブラジル……172トン
第31位 ベネズエラ……161トン
第32位 リビア……147トン
第33位 フィリピン……134トン
第34位 エジプト……130トン
第35位 スウェーデン……126トン
第36位 南アフリカ共和国……126トン
第37位 メキシコ……120トン
第38位 カタール……115トン
第39位 ギリシャ……115トン
第40位 ハンガリー……110トン
第41位 韓国……104トン(104.4トン)

このランキングから『IMF』を抜けば、上掲記事のとおり韓国は第40位になります。

金は保有していても利息がつくわけではないので、価格が上昇しているときはいいのですが、下がると保有資産は目減りすることになります。

金を経由するドル入手手段ではないのか?

同記事で注目したいのは、以下の部分です。

(前略)
『韓国銀行』が保有する金は現在、すべてイングランド銀行が保管している。

これに対し、今後は韓国で製錬・精製された金を購入して韓国内に保管しようとする理由について、鄭院長は「金の購入ルートと保管場所を多様化し、地政学的リスクを分散させる趣旨だ」とし、「ウォン建てで金を購入する際の手続き上の利便性や、金の購入経路の多様化も考慮した」と述べた。

『韓国銀行』は、『LS MnM』、『高麗亜鉛』など韓国企業が製錬・精製した金のうち、韓国内で販売されず輸出用に分類された金を購入する予定だ。

金の保管は韓国証券預託決済院に委ねる。

安全保障上の理由から、具体的な保管場所は公表しない。

フィリピンやモンゴルのような金生産国ではない国が、自国で加工した金を購入して国内の金庫に保管するのは異例である。
(後略)

つまり、こういうことです。

・韓国企業が輸出用に金を精製する
・ウォン建てで金を購入する
・購入した金は韓国内で保管する

目的は外貨準備の多様化――としていますが、「ちょっと待ってくれ」です。

入手した金を売却すればドルを入手できます。つまり、この仕組みは「ウォン ⇒ 金 ⇒ ドル」という、ドルを入手するための一つの経路として使えます。

「ドルウォン市場」を通しませんから、直接の「ドル売り・ウォン買い」でウォン安を進行させることはありません。

ウォンで金を取得しておき、必要なときだけ金をドル化するという経路が新たに生まれるわけです。むしろ狙いはコレなのではないのか、と邪推します。

金価格が下落すると損をする可能性がありますし、そもそも金には利息がつきませんので、資産価値が減るかもしれません。しかし、『韓国銀行』は上記のとおり時価計算をしません。また、この「ウォン ⇒ 金 ⇒ ドル」という取引でいくら損をしたかも表には出ません。

なかなかよく考えられたスキームではないでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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