韓国企業のあっちでもこっちでもお尻に火がついているので、とても追い切れるものではないのですが、あの『斗山重工業』も大変に危ういことになっています。
「あの」を付けるのは、東芝から盗み出されたハードディスクが渡ったとされる企業だからです。ハードディスクの中には、「原子力発電の制御システムの設計データ」が含まれていたといわれますが、確証は取れていません。
この件については上掲記事でもご紹介しましたが、『斗山重工業』は韓国の原子力発電産業の一角を担っており、国策としてドボンにすることができない企業なのです。
本来ならば。
国策でトばせない企業が経営難に陥る!
ところが、文在寅さんが大統領になって「脱原発政策」を掲げたため、原発産業は窮地に追い込まれています。政府の電力需給計画に入っていたはずのプロジェクトがキャンセルされて10兆ウォンにも上る売上予定が蒸発。
脱原発で新しい原発計画が頓挫。着工したものの止められてしまった原発「新ハヌル3・4号機」の原状復帰工事に7,000億ウォンを計上など、これで経営が傾かない方がおかしいというものです。
実際、主力事業が原子力発電所・石炭火力発電所である斗山重工業は受注が激減し、現在経営危機に陥っています。ちなみに、かつての李明博政権は「2030年までに原発80基の輸出」と大言壮語し、そのため斗山重工業も羽振りが良かったのです。
で、社会的影響を鑑みた政府は仕方がないので債権団をまとめ、国策銀行である韓国産業銀行・輸出入銀行から「1兆ウォン」の緊急融資を行うことを決定(2020年03月27日)。
長かったですが、ここまでが前フリです。
1兆ウォンでは全然足りない!
ここにきて投入される金額が「1兆ウォン」程度で済まないのではないか、と債権団をうんざりさせているという報道が出ました。以下に引用します。
斗山重工業が今年の年末までに手当てしなければならない資金が合計4兆2,000億ウォンに達することが分かった。
債権団は斗山重工業に先立って支援することを約束した1兆ウォンに加えて、1兆ウォンを投入しなければならないのか苦心している。
14日、斗山重工業と債権団によると、斗山重工業は年末までに満期が帰ってくる銀行などの短期借入金と社債3兆7,000億ウォン分を含む、4兆2,000億ウォンを返済しなければならない状況である。
焦眉の急は、来る27日に満期が帰ってくる5億ドル(約6,000億ウォン)規模の外貨社債償還である。
斗山重工業は輸出入銀行にこれをウォンの融資に変えてくれと要請している。また、来月の530億ウォンをはじめとして、6月20日400億ウォン、9月18日500億ウォンの社債が満期を迎える。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「斗山重、今年4.2兆ウォン要る…債権団、追加サポートに苦慮」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
と分析されており、事態はまさに綱渡り状況です。
ところが斗山重工業側は乗り切れるだろうと考えており、これは債権団の危機意識とまるで異なっていると記事は述べています。
(前略)
外部の意見は異なる。債権団は、斗山重工業が年末までに必要な資金が2兆ウォン以上不足と見ている。
クレジットライン1兆ウォンと6,000億ウォンの外貨社債借り換えローンのほか、運営資金などに4,000億ウォンが必要だという見通しだ。
一度サポートを開始すると、来年以降も継続して資金を投入しなければならない点も負担だ。
というわけで、韓国の原発産業の一角を担う企業は、1兆ウォンの支援を受けてなおトびそうなのです。
(柏ケミカル@dcp)