韓国経済の「四月危機」ですが、航空業界は重大な資金難に陥っています。先からご紹介しているとおり、フラッグキャリアである『大韓航空』のみならず、LCC(格安航空会社)まで業界全体で今にもトびそうな状況です。
2020年04月09日、韓国メディア『ソウル経済』に『大韓航空』の資金繰りの悪化についての報道が出ています。以下に一部を引用します。
大韓航空が政府のプライマリー債券担保証券(P-CBO)を利用しようとしているのは、今年の社債を含めて返済・借り換えなければならない借金が4兆5,000億ウォンに達するからである。
すぐに償還しなければならない社債だけを見ても、今月2,400億ウォン、今年5,700億ウォンを返済する。
先月末6,000億ウォン相当の資産担保証券(ABS)を発行したが、今月社債満期(2,400億ウォン)分を返済し、固定費を支出すると残りはないものと思われる。
またP-CBOは、大企業の制限が1,000億ウォンであり、大韓航空が最終申請後恩恵を受けたとしても、危機が潜在的なものだと言い張るのは難しい状況だ。
(後略)⇒参照・引用元:『ソウル経済』「大韓航空、今年返済する債務4.5兆ウォンなのに…P-CBOサポート限度は1,000億で『力不足』(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
面倒くさい人は飛ばしていただいても大丈夫ですが、CBOというのは「Collateralized Bond Obligation」の略で日本語では「債券担保証券」と訳されます。簡単にいえば資金調達(要は借金です)のために発行するものです。
これを政府に引き受けてもらって資金調達しようというのですが、それでは足りないと記事は指摘しています。
そもそも2020年03月末にABS(Asset Backed Securityの略:資産担保証券)※1を発行して「6,000億ウォン」確保したのに、04月末に2,400億ウォンの社債の償還が来るのでこれに充てると、固定費の支払いで手元には「お金が残らない」という状況だというのです。
なにせ飛行機を飛行場に駐機しているだけでお金が出ていくのが航空業界。固定費の支払いだけでも巨額になるのです。
しかも、制度上P-CBOで調達できるのは「1,000億ウォン」が上限で、たとえこれがうまく承認されたとしても危機的状況に変わりはないのです。
韓国政府・韓国銀行、また国策銀行の新たな支援がなければ本当にトぶ可能性があります。
※1別の韓国メディアの記事(以下参照)によれば、このABSはこの先のキャッシュフローを担保にして発行したもののようです。この先のキャッシュフローといっても、新型コロナウイルス騒動がたとえ一段落してもすぐに運行再開、売上が戻るというものでもないため、このABS自体かなり無理スジの発行と考えざるを得ません。
⇒参照・引用元:『国民日報』「【独占】大韓航空6,000億ABS成功『売上高70%減少したが、8月からは回復』」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
(柏ケミカル@dcp)