『大韓航空』が経営的な危機に陥ってる件については先に記事でご紹介しましたが、これは同社に限った話ではありません。人の移動が世界的に制限されているため、どの航空会社も大変に困った状況になっています。もちろん日本でもです。
韓国では、航空業界が危ないというので「総額2兆ウォンの支援を行うことを検討」という報道も出ていますが(そんな金額で足りるわけがありません)、2020年04月07日『ソウル経済』に興味深い記事が出たのでご紹介します。
同記事の主旨は、韓国ではLCC(Low-Cost Carrierの略:格安航空会社)がいずれも経営難に陥っているが、それはLCCが乱立しすぎ、業界での構造改革が進まなかったためではないのか、というものです。
韓国には格安航空会社がなんと「9社」もあるのです。
同記事に、その国の人口とLCC数を比較したデータが出ています。以下に引用します。
韓国:5,184万人 9社
アメリカ合衆国:3億3,264万人 9社
中国:13億9,402万人 6社
日本:1億2,551万人 8社⇒参照・引用元:『ソウル経済』「格安航空会社9社乱立に『サバイバル期』…『10年の構造調整』造船を反面教師に」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)
人口5,184万人しかいない韓国で、人口が約3.3億人もいる合衆国と同じLCCが9社もあるというのは、いくらなんでもありすぎではないでしょうか。
中国の人口約14億人で6社というのも少なすぎて逆にすごいですが。
同記事ではLCC4社の財務状況について数字を挙げていますので、以下に引用します。
エアプサン 負債比率:812%
済州航空 負債比率:351%
ジンエアー 負債比率:267%
ティーウェイ航空 負債比率:328%
と財務状況は非常に悪くなっています。
負債比率というのは、「負債 ÷ 自己資本」で計算され、要は借入金などの返さなければならない資本が、自分資本と比較して何倍になっているかを示します。
エアプサンでいえば、資本の8.12倍負債があるというわけです。
当然ですが、この数字は低いほど負債が少ないわけで、経営的に安定していると見られます。LCC業界で第1位とされる『済州航空』ですら負債比率351%ですから、これはもう惨状という他ありません。
――といった状況なのです。韓国の航空業界を瀕死状態から救えるかどうか、いや何社残れるのかはまだ分かりません。
(柏ケミカル@dcp)