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韓国銀行が「通貨スワップ」で確保した「ドル」なのに、なぜ銀行は利用しない?

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韓国メディアによれば、韓国銀行はアメリカ合衆国FED(Federal Reserve Systemの略称:連邦準備制度)と締結した「ドル流動性スワップを利用して、「ドル」を供給する第2次オークションを実施。落札された「44億1,500万ドル」が銀行に供給されます。

第1次のオークションでは「120億ドル」の供給枠に対して落札が「87億2,000万ドル」。今回の第2次オークションでは「85億ドル」の供給枠に対して落札が「44億1,500万ドル」と、「ドル不足」だというのに落札が少ないのです。

せっかく韓国銀行が確保したドルなのに、市中銀行の利用は政府・韓銀の思惑ほど大きくありません。

韓国メディアでは「計131億3,500万ドルが供給されたので、ドルの流動性がある程度解消されたためではないか、と推測しています。

例えば『NEWSIS』に2020年04月07日掲載された「韓米通貨スワップ2次入札… 44億ドルのロック解除」という記事では、以下のように記載しています。

1・2次入札を通じて市中に解かれた資金は、131億3500万ドル規模だ。応札額が連続して供給規模に達しなかったのは、市中ドルの流動性梗塞がその分緩和された影響とみられる。

⇒参照・引用元:『NEWSIS』「韓米通貨スワップ2次入札… 44億ドルのロック解除」

本当にドル不足は和らいでいるのでしょうか?

「金利が高い」ので利用したくないのでは?

もちろんドルが不足していないのならそれに越したことはありません。しかし、それにしては韓国の識者・メディアは「通貨スワップ」にご執心です。

04月02日もしつこく「日韓通貨スワップ協定」に言及。韓国政府が言い出せないのでメディアが言う
まだ言ってるという話ですが、2020年04月02日『朝鮮日報(日本語版)』に「もう一つの安全弁『韓日通貨スワップ』再開は霧散」という記事が出ました。同記事では、 韓国経済の「もう一つの安全弁」である日韓通貨スワップ協定は締結が困難...

市中銀行が利用したくない理由を考えてみます。

銀行側がするとドルはいくらあっても助かるはずですが、そこまで入札されないのには、まず「金利が高いので実はあまり利用したくない」という理由が考えられます。

これには傍証がありまして、2020年03月31日、韓国メディア『毎日経済』に「[金融ラウンジ]産業銀行が『韓銀の特別融資』拒否した理由は」という記事が掲載されました。

韓国銀行が、コロナ被害企業救済の一環として産業銀行に特別融資を持ちかけたのですが、その金利が高かったので産業銀行は断ったというのです。

一部を引用します。

(前略)
しかし、韓国銀行は特別融資の金利を産業銀行に0.85%と提示した、と伝えられる。これは、韓国銀行の買い戻し条件付債券(RP)無制限買い入れ金利の上限と同じレベルである。予想よりも高い金利だったので産業銀行側は戸惑いを隠せず、結局断ったのだ。
(後略)

⇒参照・引用元:『毎日経済』「[金融ラウンジ]産業銀行が『韓銀の特別融資』拒否した理由は」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)

赤アンダーラインは筆者による

先にご紹介した、韓国銀行が行っている「無制限の金融緩和」で取られる金利「0.85%」でも銀行からすると「戸惑いを隠せないレベル」なわけです。

今回のドル流動性スワップの金利は、これまた先にご紹介したとおり、韓国銀行がFEDから借りる時点で「0.9080%」(84日満期の場合)。「0.85%」でも高いなら借りたくない金利なのです(もちろんウォンを調達するか、ドルを調達するかでそのコストは違いますが)。

韓国銀行の「スワップライン」利用を「FED(連邦準備制度)のオペ報告」で確認!
市中銀行のドル不足を補うべく、韓国銀行はアメリカ合衆国FED(Federal Reserve Systemの略称:連邦準備制度)と締結した「ドル流動性スワップ」※を利用して上限120億ドルの競争入札を実施。「87億2,000万ドル」が落札さ...

ぶっちゃけた話、高い金利を取られるぐらいなら売れる資産をドルで売った方がマシ!という心理になっても不思議ではありません。

もう担保がないんじゃないのか

邪推の域に入るかもしれませんが、さらに「担保不足ではないのか」という点も気になります。

この韓国銀行からのドル供給を受けるためには、先にご紹介したとおり「ウォン換算で供給を受けた金額の110%になる担保」を差し出さないといけません。例えば国債などの債権がそれに当たります。

例えば、「1ドル=1,200ウォン」の場合、10億ドルの供給を受けるためには、

10億ドル × 1,200ウォン × 110%= 1兆3,200億ウォン

ですから「1兆3,200億ウォン」分の担保を韓国銀行に提供しないといけないのです。

先に発表されすでに実施している「無制限の金融緩和」でも、韓国銀行からウォンを供給してもらおうとすると、国債などの債券を提供しなければなりません。

韓国銀行の「無制限の金融緩和」とは? これだけでは危ない
Money1でも連日のように韓国経済の流動性危機(要はお金が回らないってことです)についてご紹介していますが、この危機への対応策として2020年03月26日韓国銀行は「無制限の金融緩和」という方針を打ち出しました。 「無制限の金融緩和...

あっちでも担保出せ、こっちでも担保出せという話ですので、LCR(流動性カバレッジ比率:銀行の健全性を示す指標で、銀行はすぐに現金化可能な資産を30日間の(純)資金流出に耐えられるだけ持っていなければならない)の件も絡んで、もう「出せる担保はありません」みたいなことになっていないでしょうか。

「韓国経済の危機」今度は「銀行にお金がない」という話
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先の記事でご紹介した段階で、銀行のウォンのLCRは102~105%まで下がっており、すぐに現金化できる資産で使える部分はあと2-5%しかなく、このすぐに現金化できる資産というのに国債などが含まれます。つまり、担保を積みたくてもLCRの規制に引っ掛かるから無理ということも考えられるわけです。

しかも、このドル供給では「提供した担保がウォン換算で105%未満になったら補填するように」という条件があるのです。つまりウォン安が進むと、その分だけ担保を補填しなければならない可能性が高まります。現在はウォン安局面ですので、正直な話、銀行はあまり利用したくないのではないのでは……。

韓国メディアは「通貨スワップ」あるいは「通貨スワップ協定」と呼称しますが、紛らわしいのでFRB(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)に従って「スワップライン」「ドル流動性スワップ」と記載します。記事タイトルはアンカーが韓国メディアの表記に合わせました。

(柏ケミカル@dcp)

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