まだ言ってるという話ですが、2020年04月02日『朝鮮日報(日本語版)』に「もう一つの安全弁『韓日通貨スワップ』再開は霧散」という記事が出ました。同記事では、
韓国経済の「もう一つの安全弁」である日韓通貨スワップ協定は締結が困難
韓国政府は日本に締結について正式な提案はしていない(らしい)
日本政府が強硬な立場を取っているので公式な再開提案もしない
と述べています。
韓国政府自身は「日本と『日韓通貨スワップ協定』を締結するのは無理」と一応理解はしているようです。ただし、その無理な理由というのが、日本の認識とはまるで違っています。以下に引用します。
(前略)
青瓦台(韓国大統領府)の幹部関係者は2日「日本の中央銀行(日銀)は、他の先進諸国とは異なり中央政府と政界から独立的ではない」として「安倍政権の影響力に苦しめられる日本銀行のせいで、韓日通貨スワップは困難だろう」と話した。日本の安倍晋三首相は徴用工判決以降、韓国に対し半導体素材の輸出制限、新型コロナウイルス感染拡大の局面で一方的な入国制限など、韓国に対し報復性の措置を取ってきた。
この幹部関係者は「日本はこれ以上韓国を協力国とは見なさないようだ」として「特に経済面ではライバル国として見るという認識が強い」と話した。日本が新型コロナウイルスによる世界的な経済危機の局面でも韓国を協力対象とは見なさないという意味だ。
(後略)
※赤アンダーラインは筆者による
日本の中央銀行「日本銀行」は、安倍政権に苦しめられているそうです。また、日本政府からの独立性が高くないとのこと。
まるで「日本銀行自体は『日韓通貨スワップ協定』を締結したいのに、韓国に強硬な態度を取る安倍政権がそれを邪魔している」といわんばかりです。
コレを読んだら日銀・黒田総裁もさぞ苦笑することでしょう。
その国の中央銀行は政府から独立した組織になっており、これは「財政ファイナンス※」(面倒くさい人は飛ばしても大丈夫です)を避けるためです。確かに中央銀行の独立性はしっかり担保されていなけければなりません。
しかし、かつて韓国銀行は為替介入のために政府に依頼を受けて「お札を刷った」ことがあります。そんな国と中央銀行に「日本銀行の独立性」について懸念を表明されるいわれはありません。
また、識者から『日韓スワップ協定』について考えるべきという提案(一例は先のMoney1の記事)がされているにもかかわらず、韓国政府・与党は反日を掲げて総選挙を戦っている――いかがなものか、といっています。
どちらかというとこの総選挙絡みの論点に力が入った記事です。
現在韓国では、総選挙の日程が開始されています(04月15日に投開票)。政府与党の態度批判に「日韓通貨スワップ協定」が持ち出されているという記事なのです。
上掲のとおり、また以下の記事でご紹介したとおり、あの中断以降、韓国政府は日韓通貨スワップ協定について自ら交渉再開を日本に申し入れたことはありません。
ところが、韓国政府が日本政府に言い出せない分、なにかというと韓国メディアが「日韓通貨スワップ協定」を持ち出すのです。筆者の考えすぎかもしれませんが、特に『中央日報』『朝鮮日報』はしつこいように見えます。
日本にとっては誠にいい迷惑といえるでしょう。
※財政ファイナンス
政府の発行した国債を中央銀行が買い入れること。つまり「国債をお金の代わりとすること」で、これを「財政ファイナンス」と呼びます。財政ファイナンスは先進各国では禁止されています。財政規律が緩んでロクなことにならないからです。Money1では以下の記事でご紹介しました。
ただし、ある条件を満たせばそれも可能とするのが「MMT」(現代貨幣理論)です。MMTについては以下の記事でご紹介しています。
(柏ケミカル@dcp)