近年「MMT」という言葉が経済ニュースに登場するようになっています。
これは、1929年の大恐慌から合衆国など多くの資本主義国を救うことになった「ケインズ経済学」、アベノミクスを裏付けたいわゆる「リフレ派」、すなわち新ケインズ派経済理論などと同様に、経済学上の「理論」の一つです。
MMTは90年代に登場した新しい経済理論(あるいは「主張」)で、現在はまだ異端視されています。というのは、その主張がなかなか過激なものであるからなのです。
MMTは「借金はお金を刷って返せばいい」という
MMTは「Modern Monetary Theory」の略で、日本語では「現代貨幣理論」と訳されます。MMTはケインズ学派の流れを汲んでおり、
・独自の通貨を持ち、変動相場制を維持し、かつ多額の対外債務を抱えていない主権国家が債務不履行に陥ることはあり得ない。債務の返済には紙幣を印刷すればいいのだから(ただしインフレには注意すること!)
としています。ここまでは新ケインズ学派であっても同様の主張をしているのですが、ここからさらに踏み込んで、
・であるから、政府は増税することなく赤字国債を発行して資金を調達し、必要な政策(事業)を行うべきである。そうして行った事業がやがて富を生み、帳尻は合う(富を生む事業が税収として資金を回収することを含む)
とします。
MMT派は、この理論が正しいことを示す実例として「ある国」に注目しているのですが、それが実は「日本」なのです。
日本が破綻しないのはMMTが正しい証拠!?
上記の主張に日本はぴったり当てはまるのです。
・「円」という独自の通貨を持ち
・通貨「円」の変動相場制を維持し
・多額の対外債務を抱えていません
(日本(政府)の借金は1,100兆円といわれますがその9割以上が日本国内のものです)
MMT派は合衆国もこれに当てはまるとしていますが、合衆国以外でこのような条件にあてはまる国は実は日本ぐらいしかないのです。
というわけで、日本はMMTが正しいかどうかの実験の場でもあるわけです。日本でも財務省が「借金が国民一人当たり○○万円」といったキャンペーンを行っていますが、もし仮にMMTが正しいのだとすれば、このようなキャンペーンは不要ということになります。
いわば、MMTは日本の財務省が進めている「プライマリーバランスの黒字化」に真っ向から反対を唱える理論。「消費増税など必要ない。国債を発行すればいいのだ」というわけですから、麻生財務相がMMTに反対するのも無理はありません。
⇒参照記事:『Money1』「1,000兆円の借金を財務省はこう考えている!」
※財務省に実際に取材した記事ですのでぜひご覧ください
(柏ケミカル@dcp)