「企業がお金を貯めすぎ」と指摘する識者は多いですが、衆議院総選挙が戦われてる現在、小池百合子氏から「内部留保課税」の話が出るとは誰も思っていなかったのではないでしょうか。
■日本企業は内部留保が多すぎる!?
「内部留保」とは、簡単にいえば「企業の蓄え」のこと。毎年毎年きちんと利益を出している企業では、内部留保のお金(これが内部留保金)が積み上がっていきます。
「内部留保課税」は、企業の内部留保に対して税金を掛けるものです。
内部留保課税には、税収を上げる目的とともに、企業にお金を使わせようという狙いがあります。「貯めて税金を取られるぐらいなら○○に使おう」と企業を誘導したいわけです。
日本企業は投資にお金を回さなくなっているといわれます。例えば、Money1では以前「変わったのは家計ではない『企業』である! 膨らむ内部留保金」という記事の中で、吉川洋先生の著書『人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長』からグラフを引いて、企業の投資が減っていることをご紹介しました。
内部留保が多すぎるから、それを吐き出させて(お金を回転させて)景気を良くしようというのが小池百合子氏の考えなわけです。
■「内部留保」があるから企業は余裕が持てる!
確かに、日本企業は内部留保を多く持つ体質となっています。しかし、内部留保を多く保持することは悪いことばかりではありません。たとえ不況になっても従業員の雇用をできるだけ守る、といった対応ができるのは、企業に蓄えがあってこそです。
日本企業は、バブル崩壊、リーマン・ショック、長引くデフレで痛めつけられたためもあり、利益が出たらそれを「できるだけ取っておく」体質となっているのです。単純に内部留保が多いと企業を攻めることは正しくないのではないでしょうか。
内部留保に課税することは「企業から金銭的な余裕を奪うこと」なのです。それを今行うことが正しいのか、小池百合子氏にはその点を詳しく聞いてみたいものです。
「米国や韓国、台湾でもすでに実施されている」と発言したそうですが、外国でもやってるから日本でも、みたいな考え方に賛同する低脳な企業人はいません。経済界からの反発は必至で、小池百合子氏の評価を下げただけに終わるでしょう。
我らの麻生閣下は、小池百合子氏の内部留保課税について、10月06日「二重課税になる(から駄目)」とバッサリ。麻生財務相による一刀両断ですが、小池百合子氏には届いたでしょうか!?
(柏ケミカル@dcp)