中国では「もはやBBAの時代ではない」といわれています。
BBAは自動車ブランドのことで、
B:BMW(ビー・エム・ダブリュー:グループ)
B:Benz(メルセデス・ベンツ)
A:Audi(アウディー)
の3つを指しています。
これら高級車ブランドは中国では愛好されてきましたが、非常に売上を落としています。ディーラーを営んできた店舗が急遽閉店し、店員の給与を滞納したまま店主が逃げ出すほどなのです。

販売台数が下落するBBA
↑2024年10月23日、突如閉店となった『BMW』ディーラー。オーナーは突如雲隠れしました。
販売台数を見ると、2024年は以下のような結果になりました。
BMW:71万4,500台(-13.4%)
メルセデス・ベンツ:68万3,600台(-7.0%)
アウディ:64万9,400台(-10.9%)
※( )内は対前年比の増減
販売台数の縮小も問題ですが、中国本土の「安値の叩き合い」に巻き込まれたことで、価格を下げて販売。これによって利益が減少したのが大問題です。
営業利益が激減するドイツ自動車企業
アウディはフォルクスワーゲングループですが、メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンの3つの2024年の営業利益を並べてみると、以下のようになります。
メルセデス・ベンツ:115億ユーロ(-37.7%)
BMW:136億ユーロ(-30.8%)
フォルクスワーゲン:191億ユーロ(-15.1%)
※( )内は対前年比の増減/メルセデス・ベンツはEBIT(利息・税引前利益)基準
フォルクスワーゲンの「-15.1%」も大概ですが、ベンツなど37.7%も利益が減少したのです。
フォルクスワーゲングループで見た場合、2024年の中国での販売台数は「292万8,100台」で対前年比「-9.5%」となります。
中国で販売が急減しているにもかかわらず、多くの海外ブランドが撤退する中、ドイツ自動車メーカーは、中国市場に依存し続けているのが現状です。
リストラ策を打ち出すドイツ自動車企業
しかし、経営が危なくなってきたので各社リストラ策を打ち出しています。
2025年03月17日、フォルクスワーゲン傘下のアウディは、ドイツ国内で2029年までに管理や開発などの分野で最大7,500人の人員削減を行うと発表しました。
02月には同じくフォルクスワーゲン傘下のポルシェが2029年までに1,900人の人員削減を行う――と明らかにしています。
メルセデス・ベンツは人数などの詳細を公表していませんが、メルセデス・ベンツの中国法人がすでに人員削減に乗り出していることが報じられています。
『Financial Times』によると、BMWはイギリス・オックスフォード工場での電動MINIの生産に関する6億ポンドの投資計画を一時中断するなど、生産戦略の見直しに着手しています。
欧米では電気自動車の普及にブレーキが掛かり、中国市場では電気自動車しか売れない(しかも安値の叩き合い)――という「どうすりゃいいんだ」な状態に陥っています。
ドイツの自動車メーカーは中国の泥沼に足を取られていますが、最適な生存戦略はあるのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)