韓国における為替介入についてご紹介します。2008-2009年の韓国通貨危機の前段となる時期に韓国ではウォン高を是正するために為替介入が行われていました。この時期の為替介入は「ウォン売り・ドル買い」です。
つまり、ワロス曲線も本来の意味で「ワロス」だった頃です。ウォン売り・ドル買いを行うためには当たり前ですが玉(たま・ぎょく)として「ウォン」が要ります。
この当時『朝鮮日報』に「政府、韓銀に『紙幣の発行』を要請 ウォン高対策として」(2004年11月22日)というビックリするような記事が出たことがあります。残念なことに『朝鮮日報』の記事がリンク切れになっており、仕方がないので以下に引用します。
為替レートが連日急落したことで、政府が韓国銀行に紙幣を発行し為替市場に介入してくれるように要請した。これを受け韓銀は22日、為替市場に本格介入してドルを買い上げたことでレートは小幅下落にとどまった。
(中略)
政府の某当局者はこれと関連、「ウォン・ドルレートの急落を防ぐため、韓国銀行に大胆かつ積極的な役割を要請した」と明かし、「韓銀に紙幣の発行を促したということか」との質問にも「そう思ってもらって間違いではない」と否定しなかった。
韓銀の高位関係者も「為替市場の偏り方は普通ではない」とし、「韓銀には紙幣の発行といった手段があるため、為替市場への介入財源は無限」とした。
⇒参照・引用元:『朝鮮日報』2004年11月22日「政府、韓銀に『紙幣の発行』を要請 ウォン高対策として」
※強調文字は筆者による
ある意味ものすごく正直な告白であり、悪くいえば「そんなこと言っちゃ駄目だろ」という愚かな発言ですが、韓国の無茶な為替対応を物語るエピソードです。
「小幅下落にとどまった」じゃないだろうと誰もが思うでしょうし、刷った大量のウォンによるインフレ懸念などはしないのか、と突っ込みたいところです。そこで登場するのが、先にご紹介した「通貨安定証券」です。
これを発行して市中のウォンを回収するわけです。しかし、この通貨安定証券を発行しすぎて首が回らなくなり、恐らく世界で唯一の「赤字の中央銀行」(2004年から4年間)という事態に陥ったのです。
(柏ケミカル@dcp)