【韓国のお金がない件】ついに来た!「銀行はもっとお金を貸し出せ!」という規制緩和

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韓国の企業を「四月危機」が襲っています。この危機は「流動性の危機」で、要はお金が回らなくなるかも……というこの一点にかかっています。

例えば、04月末で資金切れになると予測されている『大韓航空』がトんだら、それは航空会社が一つが破綻したでは済みません。

『大韓航空』が発行したのに償還不可能になった社債CPなどの債権が全部吹き飛ぶわけで、これに投資した人が甚大な被害を被り、その分のお金が回らなくなります。当然、貸付が回収できないためにトぶ会社が出ますし、その会社がトぶことで売掛金が回収できなくなった会社がまたトび……と破綻の連鎖が続く可能性が高まります。

雇用も『大韓航空』だけの話ではありません。『大韓航空』に商品を納入していた会社も売上が激減し、依存していた会社はトぶでしょう。雇用消失の連鎖も続き、次々に職が消滅することになります。

このような連鎖を止めるためには「お金を回し続けなければならない」のです。

問題なのは、先の記事でご紹介したようにあらゆる業種の韓国企業が流動性の危機、要はお金が回らないという危機に瀕していることです。そのため、韓国の国策銀行、市中の銀行などの金融機関は莫大なお金を供給しなけれならなりません。

ここまでが前フリです。

お金を供給するために「規制緩和」を行う!

この緊急事態ですので、ついに韓国政府が金融機関への規制を緩和するという話が出ました。『NEWSIS』の記事から以下に引用します(面倒くさい方は斜め読みで大丈夫です)。

(前略)
政府は、コロナ19に対応するために、金融機関を中心とした「100兆ウォン+α」民生・金融の安定パッケージプログラムを用意して進めている。

しかし、このプログラムに参加する金融機関は、積極的に資金を供給することができるよう、資本・流動性規制などの金融規制を一時的に緩和してくれることを要請してきた。

(中略)

先にバーゼル委員会は、国際決済銀行(BIS)自己資本比率算出時に適用する信用リスクの算出方法などを再構成する「バーゼルⅢ最終案」を来る2023年までに実施することを勧告した。

金融当局は、二重の信用リスクの算出方法改編案を、6月末BIS比率算出時から適用することにした。

これにより、国内銀行の平均BIS比率が0.8%ポイント上昇すると予想している。金融委はバーゼルⅢの早期施行に銀行の資金供給余力が12兆5,000億ウォン増えた259兆ウォンに拡大すると予想している。
(後略)

⇒参照・引用元:『NEWSIS』「金融規制一時的緩和…金融界の資金余力最大394兆増加」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)

赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)

面倒くさい人は飛ばしていただいてもOKですが、韓国の銀行はラスボス・BIS(Bank for International Settlementsの略:世界決済銀行)からの勧告によって、資本規制を行うことを決定していました(実行を始めています)。

記事内に登場する「バーゼルⅢ」というのは、その規制の名前だと考えてください(「バーゼルⅢ」については別記事にいたします)。

この資本規制実施が実施されると、銀行はトびにくくなりますが、その代わりに銀行が貸出に使えるお金が減ります。

緊急事態のため、この規制の適用開始を2020年06月末からに延期して貸し出せるお金を増やそうとしているのです。同記事での試算によると、このおかげで銀行は「12兆2,500億ウォン」多く供給できるようになるというのです。

さらに以下の部分。

(前略)
銀行のLCRも9月末まで一時的に緩和される

銀行は保有している流動性資産を危機対応の過程で十分に活用できるようにLCR規制比率を一時的に緩和してくれと要請してきた。

金融委はLCR規制レベルを変更する権限を積極的に行う。外貨LCRは現行の80%から70%に、ウォンLCRは現行の100%から85%に引き下げることにした。
(後略)

Money1でも「LCR」については幾度か触れてきました。

面倒くさい人飛ばしていただいても大丈夫ですが、LCRは「Liquidity Coverage Ratio」の略で、日本語では「流動性カバレッジ比率」と訳されます。

簡単にいうと「銀行がどのくらいお金の流出に耐えられるのか」を示す数値です。

銀行こそお金の供給源ですので、多少のお金が出ていったところで倒れるようでは困ります。そこで、「このくらいのお金は保有しておくこと」という規制が敷いてあるのです。

具体的には、「1日のお金の純流出額」を30倍した「すぐに現金に換えられる資産」(これが「流動性資産」と呼ばれます)を持っていないといけません。つまり30日分の「すぐに現金に換えられる資産」を持っていないとならない――と決まっているわけです。これをLCRで表します。

LCRは以下の計算式で求めます。

韓国では「LCRは100%以上」でないといけません(外貨については下の記事でご紹介したとおり「80%」でしたが、これを「70%」に緩める決定をすでにしています)。

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つまり「規制を緩めるからその分お金を貸し出せ!」と言っているのです。

上掲の式を見ていただけば分かるとおり、LCRが100%から85%になれば、「すぐにお金に換えられる資産」は(100% – 85%)で「15%分」なくてもいいことになります。つまり、「その15%分が使える」ことになるわけです。

緊急事態なので、ラスボス・BISの勧告なんか守ってる場合か!というわけですが、「そうでもしないとお金を回すことができない」ことを意味しています。

また、その分「銀行がトびすやくなる」ことも意味しています。

もし、なんらかのきっかけで「銀行への信用不安」が醸成(じょうせい)され、取り付け騒ぎbank run:預金者が預金・貯金・掛け金等を取り戻そうとして銀行に殺到すること)が起こったりしたら……銀行がトぶことがあり得ます。

韓国政府はその危険も見越して今回の判断をしているはずです。それだけ韓国経済は「崖っぷち」と見なければなりません。

大変な長文になってしまいましたが、最後までお付き合いをいただけたことに深く感謝申し上げます。

(柏ケミカル@dcp)

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