イギリスのメイ首相が訪日しており、安倍首相と会談を行っています。メイ首相の訪日の目的は、EUからの離脱で懸念されているイギリス政府の動きについて説明し、その懸念を払拭すること、また日本との経済協力とされています。
安倍首相は「英国は我が国にとって、ビジネス上もっとも魅力的かつ重要な場所」と述べたようですが、イギリスはもはやかつての帝国の面影はさらさらなく、金融一本で食べている国です。日本にとって「ビジネス上もっとも魅力的かつ重要な場所」かどうかは疑問ですが、これはメイ首相へのリップサービスと捉えるべきでしょう。
日英の今回の交流について、『Mail Online』には「Japan hails ‘full confidence’ in post-Brexit Britain as May’s trade mission secures a new agreement with Tokyo」という見出しが躍っており、つまりは「日本が絶大な信頼を英国に寄せている!」となっています。日本人の大半からすれば「そんなことはないぞ!」ではないでしょうか。
09月01日、メイ首相と共に訪日しているフォックス国際貿易相は「イギリスはEU離脱コストをめぐる合意で脅されることはない」とITV(イギリスのテレビ局)の取材に応えています。ただしEU側はイギリスとの交渉についてかなり厳しい態度で臨んでおり、
・EU離脱の清算金問題
・イギリス在住EU市民の権利問題
・アイルランド国境問題
といった合意に難航しそうな諸問題がイギリス・EUの間に積み上がっています。上記のうち「アイルランド国境問題」はあまり日本では報道されませんが、イギリスがEUから離脱すると、アイルランドの島内にイギリスとEUの境界線を確定しなければならない、とアイルランド政府、またEU当局は表明しているのですが、イギリス政府との合意はまだなのです。ご存じのとおり、アイルランドはUKからの離脱機運の強いところですから、その行方も懸念材料となっているのです。
(柏ケミカル@dcp)