09月07日、イギリス政府が「2040年からはガソリン車とディーゼル車の新規販売を禁止する」と発表し、波紋が広がっています。欧州でいえば、フランスはイギリスに先だって07月に同様の主張をしていますし、オランダ・ノルウェーは2025年までにガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する動きです。
この動きには同じ欧州でも、「自動車産業」と「電気の需要供給」について、各国の足並みが乱れている模様が伺えます。イギリスはそもそも自動車メーカーがもうないも同然(他国各メーカーの工場はあります!)ですから、言うだけタダみたいなものですし、フランスはドイツと違って原発による電力輸出国ですので電気自動車ばっかりになった方が都合が良い面があります。さらにフランスは、自分の国のクルマメーカーが「他国でガソリン車・ディーゼル車を売らない」とは一言も言っていません。
問題は「ドイツ」です。ドイツは脱原発を掲げている国なので電力事情に余力がなく、すっかり電気自動車になってしまうなんて未来はそのまま受け入れるわけにはいきません。
また、内燃機関をやめて電気自動車にするとメルセデセス・ベンツの利益が半分になる、という観測もあり、拙速なEV化に国を挙げてメリットがあるとはとてもいえないのです。
09月19日、ドイツのガブリエル外相は「ドイツは内燃機関のクルマを禁止すべきでない」と発言して注目を浴びました。
「燃焼エンジンの製造終了に合意すべきでないと確信している。E-モビリティーを推進する必要はあるが、その過程において、燃焼エンジンの潜在力を見失ってはならない」
とのことです。ドイツからしてみれば、「世界に冠たるドイツの自動車産業のクビを締めるような話をイギリスとフランスがしやがって……」といったところでしょうからね。
欧州の面白いのは、こういう足の引っ張り合いがあるところですね。
(柏ケミカル@dcp)