2020年06月11日、韓国メディア『inews24』に面白い記事が出ました。
『現代重工業』が納入した潜水艦に欠陥があった件で、韓国政府が同社を相手どって損害賠償訴訟を行っていたのですが、最高裁判所で判決が出ました。
『現代重工業』の敗訴です。ただし、政府側が求めた200億ウォンではなく「58億ウォン」だけが損害賠償金額として認められました。
この件を取り上げた『inews24』では経緯を以下のように説明※1しています。
前国防部は2000年1兆2千700億ウォンを投入して、新しい潜水艦を導入する次期潜水艦事業(KSS-Ⅱ)を施行した。
事業の過程で、ドイツのティッセンクルップの機種が選定され、『現代重工業』が建造を引き受けることになった。
『現代重工業』はティッセンクルップから原材料の供給を受け潜水艦を建造し、そのうち1隻を2007年、海軍に引き渡された。
導入された潜水艦で異常音が発生し、ティッセンクルップの部品の製造工程で破損したことが分かった。
軍と防衛事業庁は、現代重工業などの欠陥調査と整備に発生した費用200億ウォンを請求する訴訟を起こした。
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
海の忍者と呼ばれ、静粛性が命の「潜水艦」で異音って……根本的にダメです。
で、訴えられた『現代重工業』は供給された部品に欠陥があったのでウチのせいじゃない、などと主張していたのですが、今回最高裁判決で「ダメ! 契約したフロントはあんたなんだから責任あるでしょ!」と認定されたわけです。
ライセンスを受けて建造したのは『現代重工業』ですから、言い逃れることはできなかったのでした。当然といえば当然の結果ですが、しかし実に韓国らしい裁判だったといえるのではないでしょうか。
欠陥の責任が『現代重工業』にある、と認めたのはいいのですが問題は直ったのかという点で……実は全然直ってないのではないか、使い物にならない潜水艦ではないか、と指摘されています。
58億ウォンなんか支払ってもらっても、潜水艦が使い物にならないのであれば、韓国政府と軍は大損でしょう。
※1ただし、この説明には、1号艦が導入されたのは2006年ではないか、「ティッセンクルップ」ではなく「ホヴァルツヴェルケ」ではないかなどの疑問点があります。
PHOTO(C)Pedro Vilela
(柏ケミカル@dcp)