先にご紹介した、「宇宙一の不動産会社」こと『エバーグランデ』(Evergrande Group:恒大集団)の件です。例の内部文書(とされるもの)流出の一件以来、同社の債務問題は非常に注目されています。
なにせ債務(返済しなければならない借金)規模が「8,355億元」(日本円でざっくり「13兆円」)もありますので、もし飛んだ場合、その影響たるや甚大なものになることが予想されます。
さすがに中国共産党の上層部も仰天したらしく、『Bloomberg』におっとり刀で相談を持ったという記事が出ました。一部を引用します。
(前略)
不動産開発会社として世界最大の債務を抱える同社は、流動性危機に陥るとの懸念が投資家の間で高まっている。関係者によると、中国国務院(政府)と、劉鶴副首相を筆頭とする国務院金融安定発展委員会(金融委)は中国恒大に政府が介入するか議論したが、決定は下していない。
一部の当局者は、国有企業に同社株を取得するよう指示したり、同社が提案する電気自動車部門の上場を認めたりすることによって支援する選択肢を検討していると、関係者は語った。
(後略)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
要するに、副首相まで出張(でば)って相談したけれどもいい知恵は出ないというわけです。
そんな債務が世界最大(この意味でも宇宙一かもしれません)といわれる企業の株式を買うなんて誰もやりたくないでしょうし、ましてや不動産会社が運営している電気自動車会社なんて怪しさ満点ではありませんか(すみません)。
こんな無茶苦茶な策を取ろうとしているのも、中国共産党が定めた「Three Red Lines」の規制によってもう債務を増やすことができないためです。
資金を調達しなければ会社は飛ぶのですが、国営企業に株式を買わせる、IPO(新規株式公開)をかけるといった方法しかとれないのです。もう「資金調達のためにトンチが幾つ出るか」みたいな話になっているのがよく分かります。
大変に面白い事態ですので、また進展がありましたらMoney1でもご紹介いたします。
(柏ケミカル@dcp)