「アリペイ」を運営する『AntGroup(アントグループ)』の新規上場についてアメリカ合衆国当局は強い懸念を持っています。中国企業のファンダメルズには合衆国の鑑査の手が及ばず、疑問符が付くので、上場させてドルを入手させるのはまずいという判断です。
なにより、『Luckin Coffee(ラッキンコーヒー:瑞幸珈琲)』のときのようにウソがあった場合、投資家が大損をします。
しかし、根本の問題は中国企業がきちんと決算書を作っているかなどの精査が行えないことです。これについて合衆国当局はかねてから懸念を表明し、警告を発してきました。
直近では、例えば2020年04月21日に出された『合衆国証券取引委員会』(SEC)から出された「Emerging Market Investments Entail Significant Disclosure, Financial Reporting and Other Risks; Remedies are Limited」という公式声明。
一応タイトルこそ「Emerging Market Investments」(新興市場投資)ですが、すぐ下の大見出しが、
PCAOBによる中国での監査報告書の査察不能が続く
⇒参照・引用元:『SEC』公式サイト「Emerging Market Investments Entail Significant Disclosure, Financial Reporting and Other Risks; Remedies are Limited」
ですので、どこがターゲットの声明なのかは明らかです。
「PCAOB」は「Public Company Accounting Oversight Board」の略で「公開企業会計監視委員会」。この組織は、上場企業の鑑査が適正なものかを監督します。しかし、中国企業に対して、「PCAOB」の監督の目が届かないといっています。
その上で、
②(合衆国の基準を満たす)質・要件の財務情報が開示されているとは限らない
③合衆国当局の規制が海外に及ぼす力には限界がある
④新興市場では株主の権利は限られるし、実際の救済策はほとんどない
⑤新興市場のインデックスファンドは①~④のリスクを考慮していない
⑥市場参加者は新興市場のリスクをよく考えよう
(投資顧問業などは安易に「新興市場に投資しよう」とか言うな)
としているのです。
十分なリスクが開示されておらず、財務諸表もいい加減となれば、やめた方がいいでしょうね。まあ、いい加減かどうかも確かめることができないわけですが。
(吉田ハンチング@dcp)