大混乱のベネズエラを巡って、アメリカ合衆国とロシアの対立が激化しています。ロシアは先日「クーデーターを阻止した」と発表したマドゥロ大統領を、合衆国はクーデターを起こした側のグアイド暫定大統領(反マドゥロ派)を支持しています。
マドゥロ大統領を支持する国、反マドゥロ派を支持する国
ちなみに、どちらを支持するかを国別に見ると以下のようになります。
●「マドゥロ大統領支持」の国
ロシア、中国、イラン、キューバ、トルコ、ボリビア、ニカラグア、シリア、ベトナム、北朝鮮など
●「グアイド暫定大統領支持」の国
アメリカ合衆国、EU、カナダ、オーストラリア、イスラエル、日本など
ソ連があったころ、旧冷戦期のような分かりやすい二陣営ですね。
ロシアは自国の影響力を維持したいがためにベネズエラにコミットしていますが、率直にいえばロシアにはそのような合衆国とパワーゲームを演じられるほどの国力はありません。エドワード・ルトワック(Edward N.Luttwak)さんが断じるようにロシアは将来的にはアメリカと手を組まざるを得なくなる国なのです※。
ここで合衆国と正面衝突することは得策ではなく、そのためある程度メンツが保てたら妥協するでしょう。また、合衆国が本当に軍事介入に踏み切ったら、恐らくロシアは「そっ閉じ」します。南米に軍を派遣する金もなければ、合衆国と戦争して何の得にもならないからです。
第二のベトナムになるぞ!との脅し
社会主義政権を維持したいマドゥロ大統領は、合衆国に対してイラク、リビア、ベトナムのような戦争状態になることを警告しています。脅しているわけです。最後のベトナムはともかく、イラク・リビアでは最後には社会主義政権を握っていた独裁者は殺されているのですが、マドゥロ大統領はそれを理解しているのでしょうか。
何らかの大義名分が立てば、合衆国はすぐにでも軍事介入を開始すると考えた方が現実的ではないでしょうか。
※独自に覇権国家たり得ることは不可能で、かつてのように社会主義という理念でもって多数の国と連携することも不可能なので。社会主義を国是とする国が世界のメインストリームになるとは到底考えられませんからね。
(柏ケミカル@dcp)