日本の自動車メディアでも中国産の電気自動車が激安!と紹介されております。また、中国自動車メーカーの電気バスは安い!なんて話もあります。ただ、安いのにはやはり理由があるのです。
「50万円」電気自動車が爆発的にヒットしたので……
例えば、2021年05月に「新エネルギー車」の売上ランキングで4位に入った『长安汽车(長安汽車)』※の「奔奔EV」という電気自動車があります。
この「奔奔」(Benni:ベンベン)は2019年に発売されたときには、ベースグレードの価格は「4万9,800元」(約85万3,572円)でした。確かに安いですが、そこまで人気が出たわけではないのです。
その後、日本でも驚異的な安さ!と話題になったあの「宏光MINI」がベースグレード「2万8,800元」(約49万3,632円)で爆発的にヒットします。
この大ヒットを受けて、2021年「奔奔」は「E-Star」というバージョンを追加。これがベースグレード「2万9,800元」(約51万772円)「3万9,800元」(約68万2,172円)という激安でした。
この値下げのおかげで、「宏光MINI」の向こうを張って販売台数も急拡大。売上ランキング5位内に入るようになったのです(いつの時代もライバルという立場はおいしいのです)。
安いのにはワケがあります
もともと「4万9,800元」だったものが急に「2万9,800元」になるのですから、その「41%割り引き」にはやはりワケがあります。
簡単にいえば、削れるところはとにかく全部削って、最低限の装備にしているのです。
(4.98万元版はエアコンあり)
・エアバッグはありません
(4.98万元版は「運転席・助手席」にエアバッグ標準装備)
・リン酸鉄リチウムバッテリーに換装
(航続距離が210kmから150kmに減少)
・USB端子なし
(3.98万元版はあり)
・パーキングレーダーなし
(4.98万元版は標準装備)
・ホイールはスチール
(4.98万元版はアルミ合金)
etc
というわけで、削れるとこ削ってこの価格ですので、「エアコンはいるだろ」などと足していくと値段は上がります。また、安全性能の問題がどこまでクリアされているのかは不明です。そのため、例えば中国で販売されている格安電気自動車をそのまま日本で発売できるかというと……けっこう難しいものと思われます。
※『长安汽车』はそもそも1862年に李鴻章(日清戦争の下関条約で清国代表として伊藤博文らと交渉に当たった歴史上の人物です)によって設立されたとする企業です。
(吉田ハンチング@dcp)