トランプ大統領の「TPPへの復帰検討」について、日本の河野外務大臣は「米国が復帰するのは喜ばしいことだ」と述べる一方で、「特定の分野だけ取り出して再交渉というわけにはいかない。TPP11の発効を優先する」旨を表明しています。
トランプ大統領の横暴に釘をさした発言ですが、その裏でアメリカ復帰のための交渉が行われているでしょう。またアメリカ復帰のための準備を10カ国と始めると思われます。
外交というのは「姿勢を示すだけでポイントを稼げる」特異なジャンルです。実際に具体的な行動を起こす必要はありません。考え方を述べる(推測も可)・そのようなフリをする、だけでも国民からの支持を集めることができるのです。
その意味で河野外務大臣、また安倍首相は非常に巧いポイントゲッターであるといえます。麻生大臣もそうですが(割と我慢ができない愛すべき短気者ですけれども)、現在の内閣の主要メンバーは、そのような外交におけるポイントの重ね方を理解しており、国民に対してうまくアピールできています。
ただし、姿勢の表明で稼いだポイントは「実際に起こるイベント」によって簡単に覆されます。
安倍首相がいかにトランプ大統領と親密であることをアピールしても、アメリカが鉄鋼・アルミニウムに追加関税をかけ、そこから日本を除外しないというイベントが発生すれば、それまでの「姿勢」は無駄になる。ポイントは失われる。そういうことです。
日本の外交にないのは、姿勢を示すことではなく、実際にイベントを起こすこと、つまりは国益にかなうことを断固として実行すること、です。
もちろん現在の安倍内閣は上記のとおり、これまでの内閣と異なって、姿勢を示すことが非常に上手な政権です。戦前を入れても「巧手」の方に数えられるでしょう。この先に必要なものは……皆さんはお分かりになりますか?
(柏ケミカル@dcp)