イスラム世界での金融は宗教上の制約を受ける独特の世界です。以前にMoney1でも紹介したことがありますが、「イスラム金融」と呼ばれ、イスラムの教義(シャリアまたはシャリーア)に即していなければ金融取引はできないのです。
シャリアには、
1.利子を取ることは不可!
2.不確実な取引は不可!
3.投機的な取引は不可!
4.タブーである物(禁制品:豚肉・アルコールなど)の取引は不可!
という制約がありますが、これでは現在の金融取引はできないのでは?と思わされますね。しかし実際には、いろんな手法を用いてシャリアに背かないようにして金融取引が行われています。
これについてはまだ別記事でご紹介しますが、イスラム世界でも仮想通貨が登場しています。
仮想通貨「OneGram(ワングラム)」がそれです。このワングラムは1単位(1コイン)の発行に1グラムの金を裏付け資産とするという仮想通貨で、イギリス人であるイブラヒム・モハメド(Ibrahim Mohammed:上掲写真)氏が創設者です。
ワングラムの発行が可能になった背景には、『AAOIFI』(Accounting and Auditing Organization for Islamic Financial Institutionの略:イスラム金融機関会計監査機構)が2016年末に「金投資を解禁」したことがあります。
それまでイスラム世界では、需要が多いにも関わらず金投資はグレーゾーンだったのです。
解禁によってワングラムの発行が可能になりました。ワングラムの発行枚数は数千万ドル分に達していますが、まだ予定枚数の約6割が発行されていません。05月末に取引所に上場が予定されていますが、それまでには「発行を終える見込み」とのこと。
イスラム金融自体は、世界の金融取引量からすれば非常に小さなシェアなのですが(金融資産額で1-2%と推計)、ムスリム人口は世界の1/4ですので、伸びしろが大きいとされています。
また、金を裏付け資産とする仮想通貨の発行によって、イスラム金融が活性化するのではないかという観測もあります。ワングラムの上場は注目すべきトピックなのです。
⇒『OneGram』公式サイト
https://onegram.org/
(柏ケミカル@dcp)