「イスラム金融」という言葉をご存じでしょうか? 非常におおざっぱな言い方をすると「イスラムの教義をベースとする金融取引のこと」です。イスラムを信仰するいわゆる「イスラム国」では、自らの教義から逸脱しない金融取引を行っているのです。
イスラム教には「シャリア」(あるいは「シャリーア」)という言葉、概念があります。これは、イスラム教における「人が従うべき生き方の規範・ルール・道」といった意味です。ですので、イスラム教国では「シャリアに則った金融取引」が求められるのです。
私たちが通常行っている金融取引とはコンプライアンスが異なっているわけです。シャリアに即したイスラム金融には、以下のような特徴があります。
●利子がない!
そもそも金融取引における「利子」という考え方が許されません。不労所得としての利子がありませんし、利子の授受を行うことができません。
●不確実な取引は不可!
価格がいくらになるか分からない、数量がどのくらいになるか分からないといった不確実な取引は許されません。
●投機的な取引は不可!
投機的な行為は禁止されています。投資と投機の線引きをどこで行うかが難しいですが、シャリア的には上記のように不確実な取引の範疇になるのです。
他にも、シャリアによってタブーとなっているものを取引の対象とすることはできません。例えば「ブタ」「アルコール」「タバコ」「わいせつ物」などです。
現在の日本人の感覚からからすると、「お金を貸して利子が取れないのなら銀行は成立しないでしょ?」「いくらになるか分からないものを売買できないのなら株式市場は?」などの疑問が起こりますよね。
イスラム金融は、自らの行動規範を守りながら、非イスラム金融のような取引ができるように「手段」を講じているのです。それについてはまた別記事にて。
(柏ケミカル@dcp)