「会社を起業した人は株式上場を目指す」なんて話があります。アメリカでは上場して億万長者に! といったこともあるようですが、さて「会社の株式を上場すること」のメリットとは何なのでしょうか?
株式上場のメリットは2つあります。
①マーケットから資金を調達する
②会社の社会的認知度を上げる
まず①です。
自社の株式を市場で購入してもらえれば、大きな資金を得ることができます。この資金を事業に使うことで会社をさらに大きくすることができますね。資金調達の苦労が軽減するわけですから、これは大きなメリットです。
次に②です。
「株式を上場できる」ということは、きちんとした監査・審査を受け、まっとうに事業を運営しているという証拠でもあります。株式市場にその会社の名前があるということは社会的な信用になり、また認知度も上がります。その結果、事業をスムーズに運ぶことができるなどのメリットが得られるのです。
■上場しないメリットもある!
ただし、株式上場に伴うデメリットもあります。株式を上場するということは社会的な責任を伴うことです。さらには経営に関する透明性が要求されますから、会社の決算など、会社の内部事情を公開しなければなりません。経営の自由度が下がるわけです。
これらのデメリットを嫌ってあえて上場しない会社もあります。「マーケットから資金を調達する必要なんかないもんね」「会社の社会的認知度を上げる必要もないもんね」という会社では、特に上場する必要がないというわけです。
上場したがらない会社といえば、例えば出版社などはその代表格です。株式を上場することで株主から「言論の自由」を制限される可能性があり、また出版物で有名ですから社会的な認知度など今さら必要がないのですね。『小学館』や『朝日新聞社』は非上場会社です。
他の業種でも非上場の有名会社はけっこうあります。100円ショップで有名な『大創産業』、『ワンタンメン』で有名な『エースコック』なども非上場会社です。
■ほいほい株式を売却するわけにはいかない!?
「株式を上場して億万長者!」なんて話がありますが、これは「保有している株式を時価総額に換算したらこの金額になります」という話であって、株を保有している人がその分の現金を持っていることを意味しません。
また、上場して保有している株式に高い値段が付いたからといって、その株式をすぐに売却するというわけにはいきません。株価に影響することもそうですが、株式を手放すことは会社の支配権を手放すことでもあります。
もちろん、ある程度以上の株式の流動性が確保できていないと上場はできませんから、その範囲で株式の売却は可能ですが、創業者利益というのがある程度限られたものであることもまた事実なのです。
「上場ゴール」と揶揄(やゆ)されるような、株式の上場を果たしたらもうOK! というのであれば別ですが、日本の経営者は事業、会社を存続させることを第一に考える人が大多数です。そのため上場を経験した経営者の多くは「上場は節目にはなるが、その後が大変」と語ります。しかし、だからこそ日本は世界で一番「100年以上続いている会社」が多い国といえるのです。
(高橋モータース@dcp)