マーケットは将来起こりうることまで織り込んで価格を変動させています。ですから、予測された出来事が起こったとしても、その揺れ幅は想定範囲内に収まることがほとんどです。それどころか、その出来事による影響をすでに折り込みずみであれば、想定されるのと逆の値動きをすることすらあります。
最近の非常に興味深い例として「任天堂の新しいゲーム機の発表」があります。任天堂の動向は世界中のゲームファンから注目されていますし、また『ポケモンGO』の大成功によってNY市場における株価が爆騰したことからも分かるとおり、株式市場においても多くの人が注目している企業です。
では、世界中から注目された「任天堂の新しいゲーム機の発表」は株価にどのような影響を与えたでしょうか? まず日本の株式市場を見てみましょう。日本時間10月20日23時に発表されましたので、翌日の株価推移です。
上記のとおり、日本では任天堂の株価は下がりました。
ではアメリカはどうだったでしょうか? 日本時間の20日23時はニューヨークでは20日の10時です。20日の株価推移(OTC Market)を見てみましょう。
このようにOTC Marketでは上昇しています。今回の発表は好感されたわけすね。ただし、21日になるとずどんと落ちています。
では、なぜせっかくの新ゲーム機の発表なのに日本市場では株価が下がったのでしょうか? 後付けですからいろんな理由を述べ立てることができます。
●日本は人口が減っていく国である。そのため子供向けのゲーム市場は縮小傾向にある。新ゲーム機を投入したからといって業績が向上するとは思えない。
といった理由が挙げられるのではないでしょうか?
また、発表までの日本市場における任天堂株の値動きを見ますと、2016年8月1日あたりから上昇していたことが分かります。発表当日までに新ゲーム機についての期待がすでに織り込まれていたと考えられます。発表内容が想定をはるかに超えるものであれば、さらに株価は上昇したかもしれませんが、それまでの期待を超えるものではなかったため、発表内容を確認して下降したわけです。
(高橋モータース@dcp)