どの国にもその国の金融の根幹を担う中央銀行があります。日本ではもちろん日本銀行ですね。イギリスなら「イングランド銀行」、カナダなら「カナダ銀行」となるわけですが、実はアメリカには中央銀行たるアメリカ銀行はありません。これはなぜだかご存じでしょうか。
■アメリカは「連邦準備銀行」です!
日本の日本銀行に当たるのは、アメリカでは連邦準備銀行です。この名称はニュース記事などで目にしたことがあるでしょう。不思議な名称だと思われないでしょうか。「準備」という言葉が入っていますね。
そもそも連邦準備銀行は、1907年の金融危機をきっかけに作られた「連邦準備制度」(Federal Reserve System、FRSと略されます)を基に誕生しました。準備は準備預金のことを指しますが、アメリカに起こり得る金融危機に対して準備する銀行でもあるのです。
■連邦準備銀行は12カ所にある!
面白いのは、連邦準備銀行がアメリカの国土12カ所に存在することです。普通、中央銀行は一カ所にあればいいようなものですが、アメリカの場合、国土のあちこちにあります。
これは、各州で何か経済的な危機的状況が起こった場合に、国土のどこからでも1日以内に駆け込めるようそうなったという説があります。この12の連邦準備銀行を統括するのが、連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board、FRBと略されます)です。
この理事会が実質、アメリカの金融政策をつかさどっていますので、FRBの動向はアメリカ経済、世界経済に対して絶大な影響を与えます。「FRBの議長が……」といったニュースがよく報道されるのはそのためなのです。
■連邦準備銀行の株主はアメリカ連邦政府ではない!
この連邦準備銀行は企業であって、連邦政府に属しているわけではありません。また、連邦準備銀行の株主はアメリカ連邦政府ではないのです。
例えば、日本銀行の株式の55パーセントは日本政府が保有しており、そのため日本政府は日本銀行に対して、株主として意見したりすることがある意味担保されています。
ところが、連邦準備銀行の場合には、アメリカ連邦政府が株主ではないため、政府の意向には沿わない独立した判断ができるともいえるのです。
(高橋モータース@dcp)