経済のニュースを読むと外貨準備高という言葉がよく出てきます。この外貨準備高とは何のことかご存じでしょうか。国際経済をより理解するためには大事な言葉ですので、もし知らない人がいらっしゃったらぜひ知っておきましょう。
「外貨準備高」は、国際経済収支を理解する上で重要な言葉です。普通の国は、世界のさまざまな国と取引をしていますね。その取引の際には、自分の国のローカルな通貨で取引できることはほぼありません。
普通、国際間の取引には世界の基軸通貨である米ドルが使われます。すると、自分の通貨と米ドルを換えて……というワンクッションが入ります。この取引金額が大きくなると、通貨の価値が大きく変動することが起こり得ます。
米ドルのまま持っているプールしてあるお金があれば、「米ドル」にいちいち換えずにそこから支払い、為替取引の変動が少なくて済みますよね。つまり、米ドルなど、国際間の取引に使うための「外貨」(など)を持っていなければならないわけで、これが「外貨準備」です。そして、外貨準備がどのくらいあるか、その金額を「外貨準備高」といいます。
外貨準備が枯渇すると、外国への支払いが円滑にできなくなり、取引してもらえなくなるので、会社でいうと倒産状態になります。
■外貨準備の中身はいろいろ!
「外貨準備」と一口にいっても、実は中身はさまざまです。「米ドルで全部持っています」というわけではありません。米ドル以外の信用度の高い通貨、例えば「ユーロ」、外国の証券や、国際的に通用する「金」などで保有しています。
ちなみに、財務省の発表によれば、最新の日本の外貨準備高は「1兆2,500億ドル」ですが、そのうち「証券」が「1兆1,129億ドル」、「預金」が「628億ドル」、「金」が「290億ドル」などとなっています。
では、世界各国で外貨準備高の大きい国を見てみましょう。
■世界の外貨準備高ランキングTop10
第1位 中国……3兆7,000億ドル(455兆1,000億円)/2015年4月時点
第2位 日本……1兆2,500ドル(153兆7,589億円)/2015年4月時点
第3位 サウジアラビア……6,979億ドル(85兆8,530億円)/2015年3月時点
第4位 スイス……5,824億ドル(71兆6,459億円)/2015年4月時点
第5位 台湾……4,146億ドル(51兆76億円)/2015年3月時点
第6位 ブラジル……3,644億ドル(44兆8,301億円)/2015年4月時点
第7位 韓国……3,627億ドル(44兆6,182億円)/2015年3月時点
第8位 ロシア……3,563億ドル(43兆8,328億円)/2015年3月時点
第9位 インド……3,518億ドル(43兆2,798億円)/2015年4月時点
第10位 香港……3,322億ドル(40兆8,619億円)/2015年3月時点
*……このランキングは、IMFの最新データに中国、台湾を加えたものです。米ドルで表記。ドル円レートは、1ドル = 123円で計算しています。
■外貨準備高が大きいから素晴らしい!?
外貨準備高が大きいほど「資産があって安心」という考え方もできますが、一方で「そんなお金はタンス預金と同じじゃないか」という意見もあります。ですので「外貨準備高が大きい! わーい!」という単純な話でもないのです。
ちなみにアメリカは「1,215億ドル」(14兆9,451億円)と非常に少ない結果となっています。アメリカはなぜ外貨準備がそんなに少ないの? と思われるかもしれませんが、それは「米ドル」が自分ちの通貨だからです。世界の基軸通貨を握っているということはそれだけで大きなメリットがあるのです。
⇒データ出典:IMFの「Data Template on International Reserves and Foreign Currency Liquidity」
⇒データ出典:財務省の「外貨準備等の状況(平成27年4月末現在)」
(高橋モータース@dcp)